日本ユネスコ協会連盟は2月11日、アクサユネスコ協会減災教育プログラム「減災教育フォーラム」を開催し、教職員や減災教育関係者約200人が参加。「令和2年7月豪雨」に直面した大牟田市前教育長のリアルな体験、東日本大震災の経験を減災・防災教育につなげる実践などが真剣に話し合われた。
フォーラムは、東日本大震災の経験や教訓を学校防災につなげるため、防災・減災教育に取り組む全国の学校教育活動をサポートするもの。災害から子供たちの命を守り、生き抜く力を育む減災教育について考えた。
講演では、大牟田市前教育長で日本ユネスコ協会連盟理事の安田昌則氏が、豪雨災害の教訓と防災・減災教育について経験を語った。2020年7月の豪雨は、大牟田市では朝の登校段階では雨は降っておらず、下校時間近くになり集中豪雨が発生。各校長と随時状況確認を行いながら、下校させるか学校に留めおくのか判断の難しさに直面したと語った。また消防団や地域の団体・企業等と協力し、1週間で学校が復旧したことなどを報告。校舎の消毒と整備、被災用具の撤収、給食の準備などを行い、復旧における地域との連携の重要性を訴えた。
パネルディスカッションでは「減災教育を地域に広げ、未来につなげる」をテーマに討論。気仙沼市立階上小学校の菅原弘倫校長は、東日本大震災後に実践している防災教育として「海と生きる」という観点から、地域の記念碑や伝承から津波の脅威について学び、「津波到達地図」を作成している。避難時は「周囲の人に声掛けし、一緒に避難する」、「川の近くは通らない」等の「避難時の約束」をクラスで決めるなどの取組を紹介した。
事例発表では、南海トラフ地震想定地域の三重県鳥羽市立加茂小、加茂中学校の避難所運営訓練の取組ついて話した。地域の老人会の高齢者に避難者役を依頼したうえ、子供たちが避難所の設営に協力した。受付や誘導、健康観察をする係など役割分担を決め、運営訓練を行うことで、地域との連携の大切さを学び、共助の意識向上につながると報告した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年2月20日号掲載