収束が見えないコロナ禍を乗り切るために日常の衛生行動は欠かせないが、日々の行動に即した衛生行動には意外な盲点が隠れているようだ。「手指の衛生プロジェクト」は10月19日、ハイブリッドによる衛生啓発セミナーを開催。外出から帰宅後の消毒の時間経過による効果の違いなど、研究データに基づいて解説した。
ライオン(株)が昨年7月、成人1万人を対象に実施したインターネット調査では、93%が帰宅後の手洗いを「する」と回答した一方、3世帯に3か月にわたりビデオ撮影によるモニタリング調査を行ったところ、大人も子供も帰宅後の手洗い前にリビングやキッチンに立ち寄って家具・家電製品などに触れているの実態が明らかになった。
シミュレーションでは帰宅後30分間で接触した場所ごとにどの程度のウイルスが付着したかを算出。手洗いが遅くなり室内の接触回数が増えるほどウイルス量が増えることが判明。「早めの手洗い」群は30分間「手洗いなし」群よりウイルス量が3割以下だった。さらに帰宅直後に「手洗い消毒」の群は「手洗いなし」群の1割程度におさえられていた。
セミナーで同社衛生マイスター・藤井日和氏は帰宅後できるだけ速やかな手指洗いと消毒が重要であることと、洗い残しに注意すること、しっかり泡立てることで泡が汚れを引き寄せるという3点を強調した。洗い残しとして多い箇所は手首、指と指の間、指先と爪の間だという。
外出からの帰宅時の他の手洗いのタイミングには「咳やくしゃみ、鼻をかんだ後」、「食事やおやつの前後」、「トイレに行った後」、「動物に触れあった後」、「病気の人のケアをした後」、「調理の前後」などを例示した。
さらに心配が多い手洗いによる手荒れを防ぐには、手の皮脂が流れやすい温水より水・又はぬるま湯を使い、石けん・ハンドソープはしっかり洗い流す、手洗い後はこすらずしっかり水分を吸い取らせる等の注意を呼び掛けた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年11月21日号掲載