学校が認知した2021年度のいじめの件数は小・中・高等学校、特別支援学校を合わせて61万5351件、重大事態件数は705件で、どちらも過去最多だった。小2をピークに年齢が上がるにつれ減っていくことなどが、文部科学省が先ごろ公表した2021年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」から明らかになった。いじめの定義や理解の広がりが認知数増加の背景の一因であると文科省は分析。
いじめに関する調査は全国の国公私立小・中・高・特別支援学校が対象で2021年度間の実態。
いじめの認知件数は全体で61万5351件、1000人当たりでは47・7件。コロナ禍で対面する機会が減少した2020年度(51万7163件)より2割近い9万8188件の増加だった。
認知件数を学校種別にすると小学校は50万562件(1000人当たり79・9件)、中学校9万7937件(30・0件)、高等学校1万4157件(4・4件)、特別支援学校2695件(18・4件)だった。
コロナ禍で休校が増えた2020年度を除いて、認知件数は増加し続けている。特に小学校が2015年度から急増。1000人当たりでは2013年度17・8件、2014年度18・6件だったところから、2015年度23・2件、2016年度36・5件など急拡大している。2015年12月文科省から「いじめの認知件数がゼロであった学校においては事実を児童生徒や保護者向けに公表し、認知漏れがないかを確認すること」と通知されたことの影響が大きいと思われる。
今回調査では全体の8割に上る79・9%(前猿渡78・9%)の学校がいじめを認知。1校当たり16・8件(前年度14・1件)に相当。最も割合が髙かったのは小学校で88・1%、次いで中学校83・2%、高等学校53・1%、特別支援学校42・7%の順だった。
学年別で最も多かったのは小学2年の10万976件。次いで1年9万6142件、3年9万4781件など小学校低学年が多く、学年が上がるのとほぼ比例して減少している。
いじめの内容別に分類すると、各校種とも「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、中学校では62・2%、小学校・高等学校も6割近かった。次いで多かった「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」は特に小学校(25・0%)、特別支援学校(24・1%)、中学校(14・3%)で多かった。
他の校種に比べて高等学校は「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」(17・3%)、「仲間はずれ、集団による無視をされる」(15・8%)などが多かった。「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」は2万1900件だったが、2014年7898件、2016年1万779件、2018年1万6334件、2020年1万8870件など毎年増加している。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年11月21日号掲載