年末が近づくこれからの学校現場は、来春の新入学児童を迎えるための就学前健診準備が始まるところ。その検査項目の一つ「聴力(聞こえ)」は、聴力の障害すなわち「難聴」の有無や程度を発見するもので、2021年度学校保健統計(文部科学省)では、幼稚園2・0%、小学校6・76%、中学校4・89%、高校2・51%の児童生徒に「耳疾患」(慢性中耳炎を含む)が見られた。難聴は日常生活や言語発達、知識の取得に重大な支障を及ぼすため、早期発見と対策が重要。検査に使うオージオメータは、日本産業規格(JIS)による規格があり、定期的な校正が学校保健安全法で定められている。
「オージオメータは多くの半導体やコンデンサから成る精密機器であることを理解して、使用上の取扱いや保管場所などに気を配ってほしい。また校正は毎年行うことが望ましい」と語るのはオージオメータの校正機関である(一財)日本品質保証機構(JQA)。例年では就学前健診の準備が始まる12月~2月、定期健診が終了した7~8月が、校正依頼のピークを迎えるという。
JQAはオージオメータなどの計測器の校正だけでなく、ISO9001や14001等のマネジメントシステムの認証、電気製品等の試験・認証など、認証・試験・検査等を行う第三者認証機関。本年6月に事業内容を端的に表現した『見えない価値を 見える証に』を制定し、ステークホルダーとのより強い関係構築を目指している。
オージオメータは、計量法校正事業者登録制度(JCSS)に登録された信頼できる方法で校正されている。校正の結果、不良・不具合が発見されるのは3~4%。その半数以上がJIS規格の規定値をはずれた音圧不良だという。「一見すると正常に動作しているようでも、規定値を満たしているかは校正しなければ分からない。オージオメータは聴力検査に使用する大切な機器なので、その性能に問題がないことを確認するために定期的な校正を利用してほしい」とJQA担当者は語る。『見える証』の一例としてJQAが行っているのが、校正した機器に発行する「JCSS標章付校正証明書」と校正ラベルの添付。責任を持って行った校正の『証』といえる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年10月17日号掲載