自転車の安全利用促進委員会が発表した2021年の全国都道府県別、中学生・高校生の通学時における自転車事故発生件数調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大2年目の2021年はワクチン接種の普及、休校や分散登校等の緩和など、日常的な自転車利用が戻りつつあり、1万人当たりの通学時自転車事故件数は中学生14・7%増、高校生16・7%増でともに前年より増加。増加した都道府県の割合は中学生約6割、高校生約8割にのぼることがわかった。
調査は(公財)交通事故総合分析センターの2021年の事故データを、同委員会の古倉宗治氏(公財・自転車駐車場整備センター自転車総合研究所所長)監修により調査・分析したもの。
通学時の自転車利用が徐々に戻ったことで、活動自粛が続いた前年は減少した事故件数が2021年は増加。前年比で中学生213件増、高校生844件増だった。
自転車損害賠償責任保険等への加入義務化やヘルメット着用の努力義務化の条例改正が進み、引き続き自転車の安全啓発は重要性を増している。
都道府県別では、1万人当たりの自転車事故件数が、前年に比べ中学生約6割、高校生約8割増加している。中学生の1万人当たりの通学時自転車事故件数ワースト1は「群馬県」で対前年比55%増、2番が「香川県」、3番「徳島県」だった。高校生では調査開始から 8年連続ワースト1の「群馬県」に続き、2番「静岡県」、3番「徳島県」だった。
中高生が加害者になった場合の自転車事故について調査したところ、通学時において全体の約2割(中学生19・6%、高校生19・1%)が自転車側(∥学生)の加害事故だった。通学時は事故に遭う危険性だけでなく、事故を起こし死傷者を発生させる危険性にも注意する必要がある。
事故の加害者になった場合、多額の損害賠償が必要となるケースがあるほか、将来の職業に影響を及ぼす場合もある。都道府県別でみると、高校生では東京都が約半数の46・5%が加害者であり、栃木県は中学生、高校生ともに加害者の割合が高いことが明らかになった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年10月17日号掲載