子供に増えているドライアイについて、8割以上の子供が要因の一つとされるVDT(PC、タブレット、スマートフォン)を利用した授業等を行っている一方で、7割近くは点眼等のアイケアを何も行っていないという実態が、現代人の角膜ケア研究室によるWebセミナー「子どもにも広がる現代人の角膜の傷の現状と今後のリスク」において、伊藤医院眼科副院長・有田玲子氏の発表から明らかになった。ドライアイから角膜が損傷を受け重大疾患につながることへの注意も呼びかけられた。
有田氏の「親子の目の酷使・実態調査」は今年7月下旬、1都3県の小学校高学年の子を持つ30~50代の父親・母親各250人が対象。子供の82%が、学校や学校外の学習でVDTを利用した学習しているにもかかわらず、66・6%がアイケアを何もせず、ケアしている内容では半数近くが「目薬をさす」こと。他の「目を温める」「目をマッサージする」「UVカットを行う」などはいずれも1割に満たなかった。
一方、親の約5割はアイケアを行っており、その多くは「目薬をさす」だった。その際、目薬はビタミンA配合で防腐剤フリーのタイプを選び、さし過ぎに注意。1日1回数滴の量で足りるよう設計されているので、多いと角膜表面の潤いをキープする涙に含まれる油分を薄めてしまうからだという。
調査では親と子のアイケアの関連も尋ねた。親がアイケアをしていない家庭では96・1%の子供がアイケアを実施していなかったのに比べ、親が実施している家庭で実施していない子供は41・3%だった。
ドライアイは目の表面を潤す涙がほとんど分泌されず、角膜が乾燥して傷つく状態。近視のリスクが高まる他、傷が修復できないと角膜びらんや感染症、重症化すると失明に至る。ドライアイの原因とされる主なものは、乾燥、風、コンタクトレンズ、VTDの長時間の使用などだ。
有田氏はドライアイから目を守る効果的なアイケアとして①1時間に4~5分目を休める、②意識的にまばたきする、③デスクトップ等を見る際の目線を下向きにする、④エアコン等を目に直にあてない、⑤ディスプレイの輝度を適度にするなどの指導を紹介した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年10月17日号掲載