学校法人水野学園東京すし和食調理専門学校は、日本の深い歴史に根付いた和食文化の魅力を知ってもらう目的で、調理系高校の校長や教員、普通科高校家庭科教員に向けて和食講座を開催。和食の専門学校の指導方法など外部から知る機会は少なく、参加者は興味深く聞き入っていた。終了後には、同校の今後の取組について渡辺勝校長から話を聞いた。
和食講座には、8月1日(月)、3日(水)、4日(木)、5日(金)の4日間で計15校、26名が参加した。
講座の冒頭は渡辺校長から、すし、和食に特化した調理専門学校として、世界で活躍できる本物の料理人を育成していくために同校が行っている授業の具体例が語られた。
「すし、和食の世界では、単に握りや包丁技術を上手に使えても立派な料理人とはいえない。伝える95%は食材に対する目利きや仕込み。料理人の命である味覚もトレーニングして鍛える。技術だけでなく多角的に深く学ぶことが重要」と語ると、調理系の教員たちだからこそ、渡辺校長の説明をより深く実感している様子だった。
説明会終了後は調理実習室に移動し、塩味・甘味・旨味の味覚テストに参加者全員がチャレンジ。皆真剣だが楽しそうに体験していた。さらに出汁の取り方を学び、味わいも体感。本物のわらび粉100%のわらび餅やお椀の具材になる鱧の骨切りデモンストレーションにも感動した様子だった。
すしカウンターでは、シャリの扱い、正しいすしの握り方など、目の前で説明してもらいながら、握りたての江戸前鮨5貫、鱧のお椀、わらび餅など本物の味を堪能。デモンストレーションの合間には同校の講師たちとの質疑応答もあった。
続いて校内を見学し和食講座は解散となった。
渡辺校長は「和食講座は初の試みだったが、思った以上に多くの学校から反響をいただいた。講座に参加して、昆布だしの取り方など新たな気付きがあったと語る先生や、生徒に体験に行かせたいと話す進路担当の先生等、数多くのうれしい反応があった。今回の講座を通して、先生方が和食の魅力を体感し、高校に戻って、学生たちに和食の魅力を伝えてもらえたら嬉しい」と語った。
来年4月には、日本さかな専門学校(今年8月認可済み)が開校する。
「魚の養殖なども行うので、今後は本校が連携することで、より詳しく魚の勉強ができ調理実習の幅も広がっていく」と展望する。
来年度の学生の取組として、近隣のデイケアサービスセンターで高齢者向けの料理を作る予定もある。また栄養と原価を維持しつつ美味しい学校給食を提供することも考えているという。さらに秋に開催されるイベントでは、学生たちが福島農産品を使ったフードトラックで参加する。
「自分のスキルアップだけでなく、社会にいかに還元していくかの学びも続けていく」と最後に話してくれた渡辺校長。今後も有意義なカリキュラムが充実しそうだ。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年9月19日号掲載