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学校施設

情報の発信力に期待 効率化し指導時間確保~第63回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会

2022年8月17日

第63回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会が8月4日から2日間、「健康長寿日本一」を目標に掲げる大分県の会場からオンライン配信で開催、約1500人が参加した。「求められる栄養教諭の役割」について討議した初日のシンポジウムでは、保護者・教職員からも「栄養の専門知識が求められている」「情報発信力とコミュニケーション能力を高めて」などの意見が多くのパネリストから語られた。

 

開会セレモニーの壇上風景

「栄養教諭を中核とした学校における食育の推進」をテーマに開催された今年の研究大会は、コロナ禍で昨年に続くオンライン開催。しかし(公社)全校学校栄養士協議会(全学栄)会長・長島美保子氏は「オンライン開催が続き残念だが、大切なことは、自分から学び取ろうとする姿勢だ」と主催あいさつで呼びかけた。文部科学省、大分県・市教育委員会、大分県学校給食会、全学栄が主催した。

初日は全体会で、文科省・文化庁による事業説明、基調講演、シンポジウムが行われた。

文科省健康教育・食育課長・南野圭史氏は、食育の中心で事業展開中の第4次食育推進基本計画に沿って説明、目標達成のため理解協力を求めた。「養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議」では専門性を生かし学校内の連携にリーダーシップを発揮することが期待されているという。

基調講演は「栄養教諭の更なる活躍を目指した役割」をテーマに、神奈川県立保健福祉大学教授・鈴木志保子氏が講演。常駐・巡回を含め全小中学校に栄養教諭・栄養士が配置されている今日、全国民が生まれて初めて出会う栄養の専門家が学校給食の栄養教諭・栄養士で、全国民の将来に極めて大きな影響力を持つことを指摘。「栄養の力」はその人の人生を変えるほどであるが、国民にそこまでの理解がなく、また栄養教諭等には「給食のおばさん」という認識が一般的。他の教職員も栄養教諭等への仕事内容をよく理解していない。この現状を改革するには栄養教諭等が自ら情報発信していくことが欠かせないと強調した。

【シンポジウム】学校・家庭・地域に求められる栄養教諭の役割

パネリスト各氏(写真左から山上調査官、鈴木教授、甲斐校長、酒井教諭)

「学校・家庭・地域に求められる栄養教諭の役割」がテーマのシンポジウムは、コーディネーターに同省学校給食調査官・齊藤るみ氏。パネリストには同食育調査官・山上望氏、神奈川県立保健福祉大学教授・鈴木志保子氏、大分市立鶴崎中学校長・甲斐洋治氏、日出町立藤原小学校栄養教諭・酒井直子氏、大分県PTA連合会副会長・平本泉氏(リモート参加)が登壇した。

コーディネーターの齊藤調査官

コーディネーターの齊藤調査官

平本副会長

まず栄養教諭から求めコミュニケーションを

栄養教諭等に思うことについて、甲斐氏は管理職の立場で「食の指導は大切なのだが教職員の意識が低いのは、栄養教諭等の専門性をチーム学校のなかで活用できていないため。校長の責務で、栄養教諭等とのコミュニケーションが必要だが、それには栄養教諭等からつながりを求めアピールしてほしい」と述べた。

山上氏は中学校現場の教員時代、授業で連携する機会があまりなかった経験から、栄養教諭等の専門性に気付かなかったという。知っていたら部活で部員に栄養指導してもらえて、より良い結果が出せただろうなどと述べ、学校全体がそこに気付けていないことが大きな課題と指摘した。

保護者の立場で平本氏は、「栄養教諭等から得られることはすごく大きい」といい、専門性を発揮することに期待。そのためのツールとして大抵の家庭が見る「献立表」、直接でも質問しやすい「給食試食会」を活用することを提案した。肥満、偏食、アレルギーが保護者に多い悩み事で、栄養教諭等から話や情報が聞ければ心強いと語った。

ICT活用積極的に食の指導時間増やす

県内の共同調理場、単独調理場の栄養教諭等の1日・1週間の勤務内容を時間数で分類した事例をもとに、県内の養教諭等に行ったアンケート結果から討論した。同じ栄養教諭として酒井氏は「食の指導、個別相談など『もっと実施したい』『今と同程度実施したい』が『減らしたい』を大きく上回ったことは、やる気が感じられて良かった」と評価した。

山上氏は「データでは食の指導が職務としてやり切れていない印象。給食時の指導にはもっと力を入れるべき」と指摘。

困難な理由に受配校の多さ、多忙さ等が上がっていた。鈴木氏は「もっと実施したい」が多いことを前向きに捉え、ラウンドカメラや動画配信などICTを活用することを提案。時に生出演などを交えるなど、効果的なコミュニケーションの工夫を呼び掛けた。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年8月15日号掲載

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