文部科学省の進める教員の働き方改革の一環として、各自治体では学校給食費の公会計化への取り組みが注目されている。今年6月1日から学校給食費の公会計化を実現したのが岡山県勝央町。小・中学校3校の児童生徒教職員等約1100人分の学校給食費をはじめ学校徴収金が、教職員の手を離れ一括請求、一括支払できることになった。
これはNTTファイナンス㈱のクラウド型決済システムである「楽々クラウド決済サービス LGWAN(インターネット非接続の自治体や政府専用の行政ネットワーク)接続タイプ」の導入によるもの。
同町によると、導入の決め手となったのは次の5点。
①運用開始まで約5か月で実現できること、②学校給食費だけでなく教材費やPTA会費等の学校徴収金もまとめて請求できること、③口座振替やクレジットカード払い等の決済手段から支払方法を保護者が選択できること、④自治体と学校の両方に整っているLGWAN環境を有効活用できること、⑤導入後の運用や業務の見直しなどの周辺業務も含めたトータルでサポートが受けられること。
学校教職員の業務を削減する学校給食費の公会計化を促進するだけでなく、業務移管された自治体へのサポートも含めた同サービスのメリットをまとめると下表のようになる。
特に保護者側にメリットが大きいのは、多様な決済方法が選択できる点。口座振替やクレジットカード払い等で決済できるのはユーザー・フレンドリーな仕組み。また入金の収納先は、給食費は自治体へ、教材費・PTA会費は学校へなど指定口座に振り分け管理されるので、事務作業が大幅に軽減される。
「学校給食費委の徴収状況調査」(2016年文科省)によると、学校給食費の徴収・管理を行っている学校では未納者の督促は学級担任が46%、管理職は41%が担っていた。公会計化に移行することで徴収・管理から督促までの業務は自治体が担うことになる。そのため学校の業務は、1当たり年間190時間の削減が見込まれると試算する。
文科省が2019年7月公表した「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」は、自治体の公会計化を促進する内容。公会計化による効果の第一を「教員の業務負担の軽減」とし、次いで「保護者の利便性の向上」、「徴収・管理業務の効率化」、さらには「管理の透明性の向上」や「徴収における公平性の確保」といった点を指摘している。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年7月18日号掲載