世界の情勢の影響によって、食品全般の価格の変動も注目が集まっている。今後より一層の需要の高まりが見込まれる小麦等の国内生産地の今を紹介する。
(一社)日本冷凍めん協会は6月21~23日、会員企業向けに北海道研修を実施した。麺の材料となる小麦や蕎麦の産地を訪ね、品種の開発から、生産・収穫・麺の製造過程までを視察した。
河西郡芽室町にある農研機構北海道農業研究センター芽室研究拠点では、小麦や蕎麦の新品種育成・栽培技術などの研究に取り組んでいる。
小麦の開発にあたっては、1年で約70組の組み合わせを交配させる。世代を進め、品質評価・検定を経て、品種登録まで通常15年程度かかる。2009年に認定登録された「ゆめちから」は、北海道初の超強力小麦で、北海道での栽培に適したものだ。
蕎麦については世界の生産量は2020年に181万トンで、ロシアや中国が多い。日本は6~10位となる。日本では北海道での生産量が最大で、さらに近年道内の作付面積は増えている。
品種は「キタワセソバ」が主力。2015年に誕生し、製麺性が優れる「キタミツキ」も一押しだ。
芽室町農業協同組合(JAめむろ)では、中央監視制御室(=写真上)など、穀類乾燥調製施設を見学。収穫物の荷受けから貯蔵、精選までの設備を視察した。
収穫され、製粉された材料は製麺所へ――。西山製麺㈱は「サッポロ西山ラーメン」ほか冷凍めん、うどん等各種めん類、中華皮類、学校給食めんの委託製造など全国で幅広く展開している。工場見学では、分析室・試作室・蕎麦製麺室・ラーメン製造工程、ギョーザの皮製造などを見学した。
食の多様性や、新型コロナ禍によるデリバリー需要の高まりなど、ラーメンを取り巻く環境も変化している。参加者はハラル対応のラーメン(醤油・みそ味)や、茹で伸び耐性の高い「デリ麺」などを試食した。
同社の現在の輸出先は33か国。売上の12%が海外向けの生冷凍麺となっている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年7月18日号掲載