学校給食への地場産物の活用に力を入れている大分県では、推進策の一つである「学校給食1日まるごと大分県」の取組が注目される。2016年の「大分県食育推進条例」で制定された「おおいた食(ごはん)の日」(毎年11月19日)を中心とした「おおいた食育ウィーク」期間中に、県内の学校・学校給食センターは使用食材の地場産・県内産100%献立を工夫する。ここでは昨年度の報告書から取組のいくつかを紹介する。
大分県「県産食材使用率調査」によると昨年度の県内産物使用率は7月70・4%、11月74・3%で年平均72・4%に上っていた。食材別にみると、米・パン・牛乳などは88・5%で9割近く。一方、肉・魚介・卵類、果実類は6割以上だったが、野菜類は44・1%で半分以下だった。
「学校給食1日まるごと大分県」は2004年開始。その日の学校給を県内産食材100%使用とし、身近な食材を通して地域の歴史や産業などを知る、食育の「生きた教材」にすることが目的だ。
ごはん、牛乳、冠地鶏の煮ぐい、小祝の鱧フライ、本耶馬渓の梅干し=中津市の郷土料理「煮ぐい」に同市産食材を組合せ、地域を知ってもらう情報を掲載した資料をクラスに配布。資料は担任が読み上げたり教室に掲示するなど、食の指導に活用された。
ごはん、牛乳、豊後の寄せ鍋、かんぱちの塩こうじ焼き、みかん=給食当日の学校には「もったいないデー」として実施してもらったところ、残菜量が普段に比べ減少、完食したクラスも多かった。「魚がおいしかった」「みかんが甘かった」など食材のおいしさへの感想が寄せられたという。
ごはん、牛乳、ヒラマサのおろし煮、ふるさとみそ汁=社会科で県・市について学習している4年生の教室で、給食時間に大分県の白地図を使ってその日の献立の産地について説明。子供たちから「いろいろなところから運ばれてきているんだな」「大分っていろいろ作られているんだな」など感想があった。
ごはん、牛乳、ブリかまの塩焼き、カボスと白菜のごまだし和え、うま塩米粉だんご汁=県内産の牛乳以外ほとんどの食材を佐伯市産でまかない。献立表のメッセージ欄に「学校給食まるごと一日大分県」の説明を掲載。さらに保護者向け通信「かけはし」でも、この取組を通して県産品を食べることの意義を伝えた。
黒米ごはん、牛乳、ふるさとみそ汁、ひらまさのお茶漬け、なばっぴー和え=地域食材を豊富に使った毎月の市内統一「ふるさと&さわやかだ献立」に合わせて実施。地域の生産者を紹介しながら、「生産者のことも考えていただきましょう」という指導をしているという。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年7月18日号掲載