文部科学省は6月23日、2021年度「児童生徒の近視実態調査」結果報告書を公表。「裸眼視力1・0未満」が年齢が上がるにつれて増加し、都市部や野外活動の時間が少ないと思われる環境地域の子供に多く見られた結果となった。3年間継続して調査分析するもので、今回は第1次の結果報告になる。さらにテレビやPC・タブレット等の視聴時間や生活習慣との関連は今後の分析が待たれる。
「裸眼視力1・0未満」の児童生徒の割合は長期に増加傾向がみられ、特に2018年度以降は過去最多が続いている。背景に夜型の増加や野外活動の減少といった生活習慣の変化、テレビやPC・スマートフォンなど電子機器の長時間の視聴などが指摘されている。これをうけて文科省は2021年度新規事業として「近視実態調査」に着手。3年間にわたり毎年の健康診断に加え、測定装置での遠視・近視・乱視の測定、さらにライフスタイルとの関連を分析するというもの。参加希望の全29小中学校の、児童約4500人、生徒約3000人を対象に昨年4月から12月に行われた。
健康診断で行われる視力検査は「370方式」で悉皆ではないため、今回の調査では全児童生徒に実施。「裸眼視力1・0未満」の小学生は32・9%、中学生54・7%だった。地域別にみると相対的に環境的な要因や都市部特有のライフスタイルで、野外活動が少ない地域で裸眼視力0・1未満の割合が高い傾向がみられた。
また小学1年では8割近く(男子79・5%、女子78・9%)が「裸眼視力1・0以上」だったが、その割合は学年が上がるにつれて減少。中学3年では4割前後(男子42・5%、女子35・1%)に低下していた。
逆に裸眼視力1・0未満の割合は、男子では小学1年で20・5%、6年で46・7%、中学3年で57・5%に増加。女子も同様で小学1年で21・1%、6年で53・7%、中学3年で64・9%。
さらに「裸眼視力0・3未満」の割合は小学1年男子で1・0%、女子1・7%だったが、中学3年では男子25・5%、女子は顕著で35・6%に急増している。
370方式は左右の裸眼または矯正視力がA(1・0以上)、B(0・9~0・7)、C(0・6~0・3)、D(0・3未満)に区分。教室の後方の席から黒板の字が容易に読めるには裸眼で0・7以上、教室の一番前の席から黒板の字が読めるには、裸眼で0・3以上が必要といった実用的基準から「370方式」と言われ、日本特有の評価方法。
同時に実施した生活習慣などに関するアンケート調査で、「PCやタブレット使用に関する目を休めるためのルールの有無」を質問した結果、「ルールは決めていない」割合は年齢が上がるのと並行して増加。小学1年では半数以下(男子44・7%、女子49・2%)だったが、小学2年で半数以上(男子51・9%、女子51・0%)、小学6年で6割以上(男子66・8%、女子60・8%)、中学3年では8割前後(男子81・1%、女子77・2%)だった。
「スマートフォンやゲーム機使用に関する目を休めるためのルールの有無」についても同様の傾向だった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年7月18日号掲載