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早期発見で治療効果に期待~低身長の15%が病気 養護教諭の気づきが重要

2022年6月20日

子供の心身の健康な成長に関する保護者の関心の中では、身長に関するものが少なくないと言われる。低身長をテーマに開催されたオンラインセミナーでは、低身長で受診した患者の15・3%が内分泌疾患で、多くが成長ホルモン分泌不全という病気であり、早期に発見できれば治療効果が期待できることなどを専門医らが解説。発見には成長曲線の活用や学級担任、養護教諭などの気づきが重要であることが指摘された。

 

成長パターンの注視」が大事だと語る曽根田瞬氏

成長パターンの注視」が大事だと語る曽根田瞬氏

「身長を伸ばす食品はない」と断言する望月貴博氏

「身長を伸ばす食品はない」と断言する望月貴博氏

プレスセミナー「知っておきたい十人十色の子どもの低身長~身長を伸ばす生活習慣から成長障害の最新治療まで」を419日、ファイザー㈱がオンラインで開催。日本小児科学会等専門医の望月貴博氏、曽根田瞬氏らが講演した。

「低身長」の定義は、平均身長から得た標準偏差(SD)マイナス2SD以下を指し、全体の23%が相当する。国立成育医療センター内分泌代謝科低身長受診患者分類では、最終診断400人のうち633%は家族性・体質性による低身長で病気ではなかった。一方「内分泌疾患」が153%で大半は「成長ホルモン分泌不全性低身長症」だった。これはホルモンの病気で生まれつきの場合がほとんど。成長過程でホルモン分泌が弱くなると発症する。

曽根田氏は「治療法はある。成長曲線による成長パターンに注目し、この状態を見逃さないことが大切」と語る。①持続的にマイナス2SDを下回っている、②ある年齢から急に伸びが悪化したなどが注意ポイントであると説明した。

身長の伸びについては古今東西、様々な通説にあふれていることを背景に、望月氏は「身長が伸びる」とはどういう事なのかを科学的に正しい知識として解説。「身長は骨が伸びるのではなく軟骨部分で新しい骨が作られて成長すること」。「ホルモンの働きにより、男性ホルモンは伸ばす作用、女性ホルモンは骨端線閉鎖、つまり伸びにブレーキをかける役目」。「学童期は成長ホルモンによって伸び、思春期は性ホルモンの働きで伸び、やがて止まる」。

牛乳をたくさん飲む、運動と睡眠をしっかりとることなどが身長の伸びに効果があるという説には、「健康で丈夫な身体を作るうえで大切だが、身長の伸びとの関係は明らかにされていない」と望月氏。さらに「身長を伸ばす食品・サプリはない」と断言した。

■新治療薬が登場

ファイザーは今年1月、成長ホルモン分分泌不全性低身長症の治療薬「エヌジェンラ皮下注24㎎ペン」「エヌジェンラ皮下注60㎎ペン」の製造販売承認を取得した。従来の成長ホルモン治療薬は連日投与が欠かせないため、低年齢の子供にはモチベーションの維持が課題の一つだった。同製品は週1回の投与で、従来薬と同様の治療効果が確認されている。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年6月20日号掲載

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