「いま知っておきたい、子宮頸がんと予防の最新情報」をテーマにMSD㈱子宮頸がん予防啓発セミナーが3月29日、都内の会場とオンライン同時中継で開催された。
HPVワクチン接種について、国による積極的な奨励が一時中止されていた経緯から、予防接種に関する正しい情報の伝達等が重要。これを踏まえ聖マリアンナ医科大学小児科学教室准教授・勝田友博氏からは、接種を受けるか否かを判断するうえで大切な、情報の受け取りや正しい情報を見分ける力について「ワクチン接種を検討される方に伝えたい留意点~ISRR(予防接種ストレス関連反応)の考え方も手がかりに」と題して講演が行われた。
厚生労働省のHPVワクチンに関するリーフレット(2022改訂)によると、子宮頸がんについて日本の現状は、年間約1万1000人が罹患し、2900人が亡くなっている。若年の20~30代で発症する割合が多いことが特徴とされる。
国内でHPVワクチンが任意接種として導入されたのは2009年から。翌年は13~16歳女児は公費助成接種で任意のまま無料に。2013年4月時点で接種率は70%だったが、同年6月に予防接種後有害事象が報道され、積極的な奨励が一時中止された経緯がある。
注意が必要なことは「有害事象」と「副反応」の違いを認識すること。有害事象とは接種後に生じた健康上好ましくないあらゆる事象をさし、接種との因果関係を問わない。
副反応は接種によって起こった反応であることの因果関係が証明された事象で、HPVワクチンでは主に注射部位の痛み・はれ、腹痛、筋・関節痛、頭痛、疲労、めまい、発熱など。まれに手足の痛み、失神なども明らかにされている。副反応も有害事象の一つでここに含まれる。
HPVワクチン接種に関する情報は様々な関係機関から発信されている。厚生労働省Webページからは「HPVワクチンに関するQ&A」をはじめ対象者とその保護者に向けたリーフレット、医療従事者に向けたリーフレットや動画等の多様な情報が入手できる。学会関係では「日本婦人科腫瘍学会」、「日本小児科学会 知っておきたいわくちん情報」などのWebページもある。
またジャスミンレディースクリニック渋谷院長・近藤一成氏の講演「子宮頸がん~疾患を知ることと予防の重要性について」が行われた。さらに会場では講演後の質疑応答が行われた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年4月18日号掲載