東日本大震災から間もなく11年。この間にも震災や風水害が毎年のように起きて地域に深刻な被害を与えており、学校や給食施設も例外ではない。文部科学省が昨年4月公表した災害時の学校給食実施体制に関する調査結果では、4割の自治体が給食実施に影響する被災経験がある一方、施設の耐震・防火や非常食の備蓄等をしているのは3割強だった。コロナ禍の長期休業でも望ましい食生活のため、冷凍食品・保存食も活用した弁当配給を行った高知県の給食センターは、その経験を災害対応献立の作成に活かしている。
災害時に備えた学校給食実施体制の整備をしている自治体は33・4%だったが、40・8%の自治体が給食提供に影響した被災経験があった。
自治体を対象に災害への整備の有無による被害状況や復旧期間を分析したところ、整備のあった自治体は「通常通りの給食が提供できた」(19・5%)「何らかの給食を提供できた」(46・3%)で6割以上が給食の提供が可能だった。一方整備のなかった自治体で給食提供が可能だったのは5割弱だった。
復旧までの期間では、整備のあった自治体は78・8%が「1週間以内」だったが、なかった自治体は72%、「2週間」は整備のあった自治体で3・0%、なかった自治体は7・6%だった。
整備のうち特に役立ったものは、「非常食の備蓄」が最も多く42・4%だった。その他「給食施設の耐震化」(40・9%)、「民間企業への協力要請・締結」(15・2%)、「災害時のガイドライン・マニュアルの策定」(9・1%)などだった。
災害時の学校給食実施体制の調査で、効果的だったとされる対応の事例を、同アンケートの記述から抜粋して紹介する。
児童へは、普段と変わらない献立提供をすることが出来た。
この対応により、市内の数事業所で大型冷凍倉庫を所有していることが確認できた。
高知県黒潮町は教育委員会と給食センターと地域ボランティアが連携し、2020年3月、新型コロナウイルス感染症対策で学校が臨時休校した間、給食に替わり希望者に弁当(=写真)の配布を実施した。
その経験を活かし、災害時に対応するための献立を作成した。冷凍食品や常備食材、地場産物の缶詰なども組み込んでいる。献立表は災害後すぐ再開した時の3日分、1週間の長期にわたるものと2パターンを用意。平常時からローリングストックを意識して食材を活用している。
弁当用パック、割りばし、プラスチック製スプーン、ディスポ食器、ラップ、アルミホイル、ウェットティッシュ、手指消毒用アルコール、手袋、使い捨て帽子・エプロン、マスク等備品リストも準備した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年2月21日号掲載