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第82回 【教職員のメンタルヘルス】日常のストレスからの脱出法

2022年2月21日
連載

一般的に「人間関係」と呼ばれる中身には2通りがあります。一つは「役割関係」、もう一つは「感情交流」と呼ばれるものです。

役割関係とは、教師と生徒、上司と部下のように特定の「役割」を仲立ちとした人間関係で、「つきあい」と呼ぶことができます。感情交流とは、恋人同士のように、特定の「感情」で結びついている人間関係のことで「ふれあい」と言い換えができます。

望ましい人間関係とは何かと聞かれれば、「役割関係に従いつつも、自分の感情交流を満たしている関係」と言えるでしょうか。そこで今回は、人間関係も含めた、日常のストレスフルな毎日から脱出するヒントをいくつか挙げてみたいと思います。

①「好きなことをする」

1つめは「好きなことをする」です。サッカーボールを追いかけながら仕事のことは考えにくい。ショッピングの時も同様、仕事中のストレスから解放されるときだと思います。このような趣味や娯楽など好きなことをやっているときは嫌になることや負担になることがあってもそれを忘れることができます。そして、心身ともにリラックスできるのです。

②「構える」

2つ目は「構える」です。人は想定外の事が起こった時にダメージを受けますので、想定外のことに対して構えることです。最悪のシナリオを想定することがショックを和らげることにつながります。例えば「急に学校が休校になったら?」「突然コロナに罹患したら」など最悪のケースを想定する。これに備えておくといざという時に必要以上にインパクトを受けません。人間関係、健康、仕事、お金など想定外を考えてみるといいでしょう。

③「メリハリをつける」

3つ目は「メリハリをつける」。例えば「旅行に行く」、「映画を観る」ことで職場との区切りをつくります。サッカーの試合で選手が脱水症状を起こす前に給水タイムを設けるように、あらかじめ休憩の時間を確保し、それに合わせて仕事のスケジュールを組むことが望ましいのです。

④「捨てる」

4つ目は「捨てる」こと。やりたいことを決める前に無駄なことをやらないだけでストレスは随分軽減されます。例えば、職場における人間関係です。大半の方は相手に対して「こうすべきである」と期待して裏切られ、イライラするのですが、この考え方を「~してくれればいいな(願望)」に修正して、他人に対して過度な期待感を持たないようにすれば気持ちが楽になるのです。

⑤「身体を動かす」

5つ目は、「身体を動かす」。有酸素運動や一定のリズムを伴う運動をすると脳内でセロトニン(うつ病患者に不足している脳内物質)が活性化するといわれます。セロトニンは体の緊張を和らげる働きもあり、不安やストレスに対して重要な役割を果たします。

⑥「人に話す・書く」

6つ目は「人に話す・書く」。何が不安なのかを書き出し、人に話すことによってその原因は明確になり、対処方法が見えてきます。そして、自分の話をじっくり聴いてくれる人との出会いを通して「この世の中にも、自分を理解してくれる人がいるんだ」と、自己肯定感が高まり、不安や孤独が和らぎます。

⑦「出会いを求める」

最後は、「新しい出会いを求める」です。いつもと違う道を帰ってみる、新しくできた喫茶店に入ってみる、勉強会や研究会に参加してみるなど、新しい人との出会いや新しい学びの場、新しい習慣など非日常を楽しむことです。学校と自宅の行き帰りだけのワンパターンな生活にならないように、脳に新しい刺激を与え、ストレスフルな毎日をリフレッシュするように心がけましょう。

以上のような①~⑦のストレス解消法のなかで、1つでもできそうな習慣があれば、ぜひ実践してみてください。


筆者=土井一博(どい・かずひろ)順天堂大学国際教養学部客員教授

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年2月21日号掲載

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