新型コロナウイルス感染症対策の基本となるのは、小まめな換気であることは定着している。これらを背景に全国の学校で、教室の窓に網戸を設置する事例が増えているという。
これまでは網戸の落下など安全性や予算的な問題から、設置する学校は少なかったが、一般に校舎の周辺は樹木や学校農園等といった植栽が豊かで、虫類の生息が多いため、蚊や蜂などが教室に飛び込んで授業に支障をきたさないように、窓を締め切って扇風機やエアコンを使用していた。
文部科学省が作成した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では、気候上可能な限り常時換気に努め、常時換気が難しい場合は、こまめに(30分に1回以上)数分間程度、窓を全開にすることが必要と明記された。そのため、換気中に虫の侵入を防ぐ網戸を設置する学校が増えたようだ。網戸を設置したことで窓を開けていても安心して授業が行えると、HPなどで報告している学校もある。
ただし学校は引き違い窓が多く、通常では網戸は窓の外部に設置され、子供が寄りかかった重みで外れ子供ごと墜落したり、誤った取り扱いで落下する等、安全性に不安も指摘されている。
網戸の総合メーカーであるセイキ販売㈱が販売する「室内付パネル網戸」は、引き違い窓の室内側に新たに網戸レールを設置できる。網戸を外さなくてもネットの清掃や張替が出来る仕様で、安全性を求めて開発された。当初は高層住宅の風圧による網戸落下対策として開発されたが、子供の生活環境で安全性に配慮が必要な学校にも、最適な商品である。
サッシの種類によっては設置できないケースもあるが、同社は室内取付けの収納式網戸などラインナップが豊富で、対応が期待できる。
網戸に係わらず学校・公共施設の窓からの墜落事故事例は、国土技術政策総合研究所の「建物事故予防ナレッジベース」には203件掲載されている。例えば清掃の際に窓から身を乗り出したことが原因の事故も複数見受けられる。網戸を新規で設置するならば室内付けが、より事故防止につながると思われる。
問合せ=03・5999・5820
教育家庭新聞 新春特別号 2022年1月1日号掲載