「『日常生活の食事』に生きる学校給食~教材となる『おいしい』給食の実践と発信~」をテーマに、シンポジウムは文科省・清久利和食育調査官がコーディネーター。キーノート・スピーチでは同・齊藤るみ学校給食調査官が、学校給食は教育の一環で栄養バランスがとれた食事モデルであり、献立作成の工夫や充実した調理施設・設備が必要だと伝えた。
シンポジウムでは2つの論点で意見交換が行われた。
札幌市立円山小学校・森田智也校長「総合的な学習では給食を通じて地産地消やフードロス、行事食などを教えてきた。日本全体で1年間に捨てられる食べ物の量は630万トン。1人当りで毎日ご飯1杯分を捨てている。無理をする必要はないが、あと一口食べれば幸せな気持ちになると子供たちに伝えている」。
北海道PTA連合会・街道美恵副会長「学校給食は栄養教諭や給食センターで働く人のおかげで作られており、それを食べることは感謝の気持ちにつながる。そして子供たちが協力して配膳することで思いやりの気持ちが育つ。みんなで会話をしながら食べることはコミュニケーション能力の向上にもつながる」。
北海道西興部村立西興部小学校・小西千鶴栄養教諭「栄養士が発信したいことは子供までは届くが、教えたことが家庭まで伝わらないことが多い。西興部村では全校に設置されたケーブルテレビを使って、給食レシピのつくり方を放送した。一方、食への興味が薄い家庭への働きかけが弱かったことが課題として残る」。
北海道教育庁学校教育局・中澤美明指導担当局長「毎年、北海道学校給食コンクールを開催しているが、その結果をオンデマインド配信やクックパッドやWebサイトを通じて紹介している。しかし発信するだけでなく見た人からリアクションをもらうなど双方向のやり取りを期待する」。
「給食が教材として効果を発揮するためには、計画的な献立を作成しその献立にこめた想いを発信することが大事。そして栄養教諭や学校栄養職員が教職員と連携を密にし、児童生徒に給食からのメッセージを確実に届けることが求められる」。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年11月22日号掲載