就学前健診や定期健康診断で必ず行われる耳疾患の検査。令和2年度学校保健統計(文部科学省)では、異常・疾患をもつ児童生徒の割合は小学校が6・14%、中学校5・01%、高校2・47%だった。
その多くは難聴の疑いや慢性中耳炎。コミュニケーション障害や心因性疾患、難聴との関連から早期発見が重要な耳疾患だが、健康診断に使用されるオージオメータは、学校保健安全法に基づく運用で「定期的に校正を受けること」とされている。
オージオメータは高音低音の必須検査音を発生させ、被検者の反応から難聴等の疑いを明らかにする機器。精密電子機器のため、普段から専用の収納容器で保管されるほどだ。
「就学前健診が始まる前の夏と冬がピーク。校正は1台ずつ実施するので時間がかかる。そのためソフトウェアを用いたシステムを構築し、作業効率を向上させている」と語るのは(一財)日本品質保証機構(JQA)。校正室では測定装置やパソコン画面に向かう校正員達が、作業に集中していた。
JQAは複数ある「校正」事業者の中でも、国内で唯一「JCSSシンボル付校正証明書」を発行。JIS規格に基づき聴力レベル、聴力レベル調整器の精度、周波数精度、イヤホン出力の高調波歪を校正している。
JCSSとは計量法に基づき経済産業大臣に代わり独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が校正機関を登録する制度。信用できる「校正」事業者の証明とも言える。
視力低下ほど目立たずあまり問題視されることはない耳疾患だが、令和元年までの10年間で、わずかだが全体的にほぼ増加傾向にある。
「コロナ禍で急増したオンライン授業をはじめ、日常的にイヤホンで耳をふさぐ機会が増えた今日、聴力検査はより重要」とJQAは注意喚起する。
お問合せ: 計量計測センター/042-679-0144
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年10月18日号掲載