自転車の安全利用促進委員会の発表によると、2020年の中高生の自転車通学時の事故件数は、前年に比べ中学生・高校生ともに約2割の減少。大きな要因にはコロナ禍による休校などで通学日数が減ったことがあげられる。一方、1万人当たりの事故件数では増えた県もあることから、コロナ禍の通学手段として不慣れな自転車通学が増えたことが原因と推測され、同委員会は啓発と安全指導の徹底を呼び掛けている。
調査は2020年1月~12月の事故データを(公財)交通事故総合分析センターからの提供を受け、同委員会委員である(公財)自転車駐車場整備センター自転車総合研究所所長・古倉宗治氏監修により分析。
通学時の1万人当たりの自転車事故件数は中学生が4・19人(前年5・23人)、高校生が19・5人(同24・24人)。前年と比較すると、中学生が19・8%減、高校生が19・5%減で、中高いずれも2割近くの減少だった。コロナ禍で休校が増えた分、登校日が少なくなった影響もあるのではないかと考えられる。全体は減少した一方、都道府県別では、増加した県が中学生で3割、高校生は2割にみられた。
都道府県別自転車事故ワーストランキングをみると、中学校のワースト1位は香川(21・66人)、次いで群馬(21・39人)、徳島(16・08人)、高知(13・93人)、岡山(11・82人)、山梨(11・66人)、佐賀(10・67人)、栃木(10・44人)、宮崎(9・78人)、茨城(9・44人)でワースト10。前年と比較し、群馬と佐賀は30%以上の減少で、栃木と宮崎も減少した。一方で茨城は24・9%、香川は18・6%も増加。他4県も増加した。
高校では群馬が88・11人でワースト1位、2位が静岡で58・06人。この2県は3位以下を大きく引き離す件数だった。3位以下は宮崎(33・01人)、香川(30・83人)、徳島(30・56人)、山梨(29・85人)、佐賀(29・52人)、愛知(28・61人)、長野(25・09人)、山形(25・03人)。前年より増えたのは香川(2・8%増)、山梨(0・3%増)、佐賀(0・4%増)の3県で、他は減少。特に山形(33・8%減)と長野(26・5%減)をはじめ静岡、宮崎、群馬は減少が2割前後と大きく変動した。中高を通して共に事故件数ワースト上位だった県は群馬、香川を筆頭に山梨、徳島、佐賀、宮崎などだった。
コロナ禍で通学中の3密回避のため、新たに自転車通学を選択した生徒も増えたと予想され、運転や道路に不慣れなために起きた事故も増えていると思われる。また3分の1は整備不良や構造上の問題など自転車由来の事故とされている。
これら予防可能な事故を減らすため、同委員会は学校の安全教育、安全指導を徹底、継続して実施を呼び掛けている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年10月18日号掲載