不登校児童生徒の実態を調査した文部科学省の調査結果が先ごろ公表され、「学校に行きづらいと感じたきっかけ」で最も多かったものは小学生が「先生」、中学生は「身体の不調」であることが明らかになった。休みたいと感じてから実際に休み始めるまで、半数が1~6か月だったことから相談等の早期支援体制が重要であると指摘している。
調査は令和2年12月に実施、前年度の不登校だった小6児童(713件)、中2生徒(1303件)、保護者(小754件、中1374件)が対象。
「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答、以下同)で最も多かったものは「先生」(小30%、中28%)、「身体の不調」(小27%、中33%)、「友達」(小25%、中26%)など。「休んでいる間の気持ち」は「ほっとした」(小70%、中69%)の一方で「勉強の遅れに不安」(小64%、中74%)などで安心感と不安感の不安定な状態だったようだ。
「どのような事があれば休まなかったと思うか」の設問について、小中学生共に「特になし」が最も多かった(小56%、中57%)が、それ以外では「友達からの声かけ」(15・1%、中17・4%)、「学校の先生からの声かけ」(小11・4%、中8・7%)、「個別で勉強を教えてもらえること」(小9・3%、中9・1%)、「家族からの声かけ」(小8・6%、中6・7%)などの回答があった。
「学校に行きづらいことについて相談した相手」では、「家族」(小53%、中45%)が最も多かったが、「誰にも相談しなかった」(小36%、中42%)も4割前後だった。その他では「学校の先生」(小13・3%、中15・0%)、「友達」(小7・6%、中10・6%)、「学校カウンセラー」(小8・0%、中7・4%)、「保健室の先生」(小7・7%、中6・9%)だった。早期に家族以外に相談できる環境が望ましいと言える。
「学校に行きづらい」、「休みたい」と感じてから実際に休み始めるまでの期間は、「わからない」(小29・9%、中26・1%)を除くと、「1か月未満」(小27・3%、中31・8%)が最も多く、次いで「1か月以上6か月未満」(小19・8%、中22・8%)。小学生の47・1%、中学生の54・6%が半年以内に休み始めている。
報告書によると、休みたいと感じてから、約4割が誰にも相談していないことから、児童生徒には教員をはじめ大人には相談しにくいことが考えられるため、児童生徒の変化に気づき大人から声をかけ、必要に応じて学校カウンセラーにつなぐ等、早期の発見・支援の体制を築くこと。また約半数は家族に相談していることから、保護者との信頼関係が重要であることを指摘した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年10月18日号掲載