文部科学省が8月にまとめた令和4年度の概算要求では、学校保健の推進と感染症対策の充実について7億1800万円、学校給食・食育総合推進事業に8600万円を計上、いずれも対前年比で増額の要求となる。この中で感染症対策支援には事項要求として、今後の収束状況による予算額の変動が見込まれている。
学校保健の推進と感染症対策の充実の内訳としては、「がん教育総合支援事業」に3200万円(前年同)を計上。内容は地域の実情に応じた教育の取組の支援、がん診療連携拠点病院との連携で、がん専門医、がん経験者等の外部講師を活用したがん教育の取組を支援。先進事例の紹介等で全国への拡大を図る。
「児童生徒の近視実態調査事業」は前年度を上回る6000万円。視力低下が進行する小中学生を対象に、近視とライフスタイルの関連調査により視力防止対策を検討。令和3年度の同事業調査対象だった中学校卒業生にも追跡調査し縦断的に状況把握を行う。
「学校健康診断情報のPHRへの活用に関する調査研究事業」には前年度を大きく超えた5億1400万円。「Personal Health Record(PHR)」は政府全体の推進事業で、校務支援システムを導入している学校について令和4年度からマイナポータルを通じて学校健康診断情報を本人へ提供することを本格実施できるようサーバーを構築。システム未導入校も本人提供が可能とする実証事業を実施する。
新たに「脊柱側弯症検診に関する調査研究」に1300万円を計上。脊柱側弯症の学校健康診断での早期発見・支援につなげる仕組みづくりを研究する。
感染症対策では、学校の対策の徹底のため継続的な消毒薬や衛生用品の整備経費、特別支援学校スクールバス増便費用として国立10/10、公私立1/2を補助する。いずれも事項要求とした。
また「学校等欠席者・感染症情報システムの充実」に3700万円。同システムと各学校の統合型校務支援システムの連携のシステム改修・サーバーの機能強化を3年度事業で実施。本格運用でより効率的で精度の高い感染状況の把握を行う。
「学校給食地場産物使用促進事業」に5000万円。地場産物使用の課題となる量・規格・集荷・納入のミスマッチを調整する「コーディネーター」の配置と、関係者の協議会を促進するため、自治体30か所で1/3を補助し仕組みづくりの研究と拡大を目指す。
「学校給食・食育の諸課題に関する調査研究」に3600万円(前年同)。食品ロス(SDGs)、伝統的食文化、減塩、体験活動、デジタル化への対応、食の安心安全等の食育の課題に対応。栄養教諭を中心に家庭・地域の連携による取組の研究事例を全国発信する。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年9月20日号掲載