先ごろ文部科学省が公表した「令和2年度学校保健統計調査」の健康状態調査では、裸眼視力「1・0未満」の割合が、小学1年年生は4人に1人(24・22%)、6年生では約半数(49・47%)にのぼり、小・中・高等学校のいずれの段階でも過去最高を記録した昨年度に続き、視力の低下傾向に歯止めがかからない現状が明らかになった。
新型コロナウイルス感染症拡大のため、例年の調査時期を変更拡大して令和2年度中の調査となった今回は、時期が異なるため過去との単純な比較はできない。
裸眼視力「1・0未満」の子供の割合について、前回調査では幼稚園平均26・06%、小学校34・57%、中学校57・47%、高等学校67・64%だったが、今回は幼稚園が27・90%、小学校37・52%、中学校58・29%、高等学校63・17%。高等学校でわずかに下回った以外には、幼稚園から中学校までの全校種で昨年を超えていた。
一方で「むし歯(う歯)」の割合は、1980年前後をピークに、昨年度までは全学校種が減少傾向で推移してきた。今回調査結果は幼稚園30・34%(前回31・16%)、小学校40・21%(44・82)、中学校32・16%(34・00)、高等学校41・66%(43・68)で、いずれの学校種も下回っている。
年齢別に「むし歯」の被患率をみると、5歳から8歳にかけて上昇し、ピークの8歳では47・51%だった。その後は減少に転じ12歳で29・44%が最少。それ以降、徐々に増加する傾向にある。8歳から12歳までの間で減少する理由は、乳歯から生え変わり時期であることの影響とみられる。
また、顕著に減少しているのが「鼻・副鼻腔疾患」で、全学校種が前回調査を下回った。幼稚園は2・38%(前回3・21%)、小学校11・02%(11・81)、中学校10・21(12・10)、高等学校6・88(9・92)という結果だった。小学校全年齢を通じて10%以上にのぼり、9歳が11・73%で最も高くなっている。
裸眼視力「1・0未満」の被患者の割合が、ほぼ年齢が高くなるにつれて増加する傾向について文科省は、全国の小中学生を対象に近視実態調査を実施している。生活習慣との関係等、視力悪化の詳細(近視、遠視、乱視)を明らかにし、視力低下の予防に必要な対策を講じるとしている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年8月16日号掲載