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学校施設

第78回 【教職員のメンタルヘルス】職場内のサポート体制整える

2021年8月16日
連載

2学期がスタートするにあたり、教職員のメンタル予防の観点から、生徒指導や保護者対応、職場内でのサポート体制等について、具体的な「予防策」を実践する学校があります。

交代で担任をフォロー

例えば、生徒指導に関してクラスで担任と生徒との間がしっくりいかなくなった時には、学年主任や部活の顧問等が間に入って、「お前の担任は、本音ではこういうことを伝えたかったんだぞ」とフォローすると決めているそうです。

保護者対応では、夏休み終了までの間に、担任が各家庭に1回電話連絡を入れる学校があります。その目的は、夏休みの子供の様子を確認すること、②2学期以降の保護者との協力体制を強化することの2点です。特に後者の保護者との協力体制については、「何も問題が起きていない時の保護者とのつながり」を大切にしています。問題が発生してから初めて保護者と接触する場合と、あらかじめ保護者と接触している場合とでは、保護者側の学校に対する「不信感の熱量」がかなり違ってくるケースが多いためです。

さらに、保護者に対する初期対応で炎上するケースを予防するため、担任を一人で保護者の矢面にさらさないようにすること。そのためには担任以外の人(例えば教頭や学年主任等)に交渉の窓口を一本化すること。ヒートアップした保護者に対して、部活の顧問や昨年度の担任等が間に入り、保護者をクールダウンさせてから対応している学校もあります。

備えは職場全体で

ベテラン教員が多数在籍していた時代とは違い、現在では、30代の若手教員が主流を占める学校が増えています。モデル(手本)となる40代教員の採用を全国的に控えた影響もあり、30代のミドルリーダーといえども、保護者トラブルを実際に乗り越えた経験のある教員が少なくなっているのが心配です。

そこで、2学期を迎えるにあたり、職場全体で以下の3点について備えて頂きたいと思います。

①2学期は、授業時間が一番多く確保されている学期ですが、授業力に課題のある教員にはメンタル的に一番苦しい時期であること。

コロナ禍で例年通りに学校行事が実施されない中、体育祭や合唱祭等の学校行事を通して学級作りをしてきた教員には、モチベーションの維持が難しい時期を迎える人もいること。

③1学期は様子見をしていた転勤1年目教員の中には、2学期に入り、今までやってきた自分のやり方やスタイルを発揮しはじめたとたん、学校や学年の教職員との摩擦が大きくなり、職場で孤立する場合があること。

以上の課題について、学年のまとまりが強い中学校では、学年内や教科内でお互いに援助しあう土壌があります。では小学校の場合には、どうしたらよいでしょうか。

予防的な取組を実践しているある小学校では、2クラス合同の授業を増やしたり、給食の時間に担任を交換したりして、担任の「硬直化」(必要以上に問題を抱え込むこと)を予防しています。さらに、学年集会等を通して、学年の先生みんなで担任をしているところを「意識的」に子供に見せ、担任の「孤立化」を予防しているそうです。

このような組織的な取組の一方で、個の理解に関しては、外見や態度で誤解したり、先入観を持ってしまったりして、相手の意図を正しく理解することは難しいものです。

大切な個の理解

自分がどう思われているか、必要とされているのかもわからない、そんな不安を抱えながら働いている状態が続いたら、どんな人でも参ってしまいます。
 だからこそ、相手の事をよく知る、自分の事もよく知ってもらうことが何よりも大切ではないでしょうか?


筆者=土井一博(どい・かずひろ)順天堂大学国際教養学部客員教授

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年8月16日号掲載

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