学校創立は昭和3(1928)年、今年度が93年目という伝統校である東京都立板橋高等学校(西島宏和校長)。ターミナル駅の池袋から地下鉄でわずか2駅というアクセスの良さで、若さ一杯の挨拶が好印象の生徒達だった。訪問した6月下旬は梅雨前半で、本格的な暑さ対策に入るには少し早い時期。例年に比べ低温傾向の今年は、送風機等の稼働には至っていなかった。
建て替えられた校舎は平成30(2018)年竣工。教室棟、体育館は全館冷暖房、全館LED照明、東京産の木材を多用した明るく快適な学習環境が整っている。体育館の冷暖房設置率は、高校では全国平均3・3%。その中にあって東京都は約26%に上り群を抜く。
しかし格技場には冷暖房設備がなく、同校は体育館からの冷気を大型送風機で循環させている。
格技場内は柔道場、剣道場がそれぞれ1面ずつの広さ。放課後の部活で使用する他、日中の授業では1、2年生男子が週1回柔道で使用するため頻度は高い。場内西側1方向は全面窓だが植栽が近いため蚊が多く、夏期は開放できない。渋谷国之主任教諭(体育科)は「これからの時期、格技場を使用するうえで大型送風機は熱中症対策に欠かせない」という。
格技場は体育館と隣接してポーチで連結されているため、体育館からの冷気が外に漏れにくい。コーナーごとに大型送風機を配置し、順送りに格技場の入り口から室内全体へと流している。使用するのは既存の2台と、新規に昨年設置された2台との計4台。ポーチには他に冷水器2台も設置され、生徒は自由に冷水を水筒に補充できる。
体育の授業には暑さ対策に加え、身体接触を減らす、マスク着脱の指示等、感染症への配慮も必要。「早くのびのび運動させたい」と渋谷教諭。
同校に昨年設置されたのは、(株)ナカトミの大型循環送風機「ビッグファン」(BF-75V)。同シリーズにはファンの直径が60㎝、75㎝、100㎝、125㎝の4種類あり、予算や目的、環境に応じて選択できる。
いずれのサイズも取手とキャスター付きなので移動が容易。室内の熱中症対策には、室温を循環させると共に空気の流れをつくることが使用のポイント。同機を採用している学校の多くが、単体での使用より、空気の流れを読んで複数台を適宜配置した使用法だ。
転倒しにくい設計で、上下方向の角度調整も自在(BF-125Vを除く)。家庭用の電源コンセント(単相100V)があればコードを差し込むだけ。特別な工事が不要だから、移動してすぐどこででも使えるところが大きなメリットだ。
モーターはサーマルプロテクター(復帰式過熱保護装置)付き。万一モーターが異常発熱した場合は自動的に停止し、モーター温度が下がると自動的に回転する安全機能が施されている。風量は3段階で調節できる。
▼詳細=https://www.nakatomi-sangyo.com/
問合せ=026・245・3105
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年7月19日号掲載