5月27日、第1回中央教育審議会初等中等教育分科会学校安全部会(渡邊正樹部会長・東京学芸大学教職大学院教授)が開催され、2021年3月に諮問された「第3次学校安全の推進に関する計画の策定」について、主に安全教育、特に防災教育の充実について討議。来年1月までに答申をまとめ、2022年3月までに次の計画を策定する。5年間の第二次計画は今年度で終了。
学校の耐震化は第二次計画の5年で大きく進んだものの、危機管理マニュアルの策定は100%には至っていない。さらに懸念すべきはマニュアルが形骸化して実効性がなくなっていくことだ。委員からは「現在の計画は、再発予防に偏っている。多くはそれで対応できるが、様々な危険が生じている今、マニュアルが膨大になり、身につかないという危険がある。また、想定外の事故等については再発予防のスタンスでは対応できない。想定外のことにも対応するためには、自らを守るために判断できる力を育む必要がある。命を守ること、安全に過ごすことは人生において最大の課題と捉え、健康教育、SNS等も含めた防犯教育、がん教育等それぞれを分断するのではなく、プログラミング教育やプロジェクト学習、探究学習のテーマの1つとして取り扱うことで、日常的に自らを守る力を育むことができる。何か起こったときに対応できる力ではなく、日常的にプラスになる学びが必要」、「航空安全や医療安全では、技術的なテクニック以上にコミュニケーション能力が重要であることが常識」と指摘した。
地域との連携の重要性についても指摘。「自治体ハザードマップに記載されていない危険か所等、地域住民ならではの情報がある。これを共有するために地域連携は重要」と話した。
本部会では、幼稚園、学校教員、PTA、学校医経験者のほか学校安全や防犯、地震や防災、熱中症予防、法務等に関する多様な専門家が参加。多方面からの討議が期待できる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年6月7日号掲載