新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の猛威は、まだまだ収束の気配が見えない。学校でのクラスター発生を防ぐためにも、自宅療養から発生する家庭内感染を防ぐことは重要。「家庭でもこまめな『換気』が、冬は手洗い『洗浄』、アルコールで『消毒』に加え極めて大切」と強調する白鴎大学・岡田晴恵教授に「家庭内感染を回避する自宅療養」のポイントを聞いた。
新型コロナの感染経路の一つとして事例が多いのが、同居する人の間で広がる「家庭内感染」です。外の環境からウイルスを持ち込んで、無症状のまま感染を広げることもあります。
①外で着たコートは室内に持ち込まず玄関に置く、②帰宅後はすぐに手洗いと洗顔、できれば入浴をする、などの習慣の徹底が大切です。
最大のポイントは家庭内での感染拡大を防ぐこと。看病する人も、感染に気をつけた服装をしてください。手袋は使い捨てできるビニール手袋がおすすめ。100円ショップなどのビニール合羽などを着て、ウイルスの付着を防ぎます。前で留めるタイプの合羽は、前後を逆に着てフードを内側に折り込み、背中でボタンを留めます。使用後には消毒・洗浄、又は手袋と共に処分します。
目の結膜からも感染するためゴーグル、または眼鏡を使用。手袋をしていても、看病後は必ず顔と手を石鹸で洗って消毒してください。
新型コロナは症状が変化しやすく、患者の2割が発症後7~10日で肺炎を悪化させます。いつ、どんな症状が出たかなどを「経過記録表」として正確に記入しましょう。朝昼晩の3回、検温や食事も記録します。
なお、発熱時の脱水症状から素早く回復できる経口補水液は、白湯1Lに砂糖40gと塩3gを溶かして自作できます。
手間は増えますが、風呂場やトイレでもしっかりと感染防止対策をしてください。
入浴する際は、同居人のリスクを低くするため、感染者は最後に風呂場に入り、湯船に浸からずシャワーで済ませてください。ウイルスは便からも検出されています。細菌やウイルスが舞い上がるのを防ぐため、排便後は必ずふたを閉めて水を流してください。
洗面所やトイレは、感染者が使用したらすみやかに家庭用洗剤で清掃・消毒。パジャマなど感染者が触れるものは1日1回は洗濯してください。その際は手袋とマスクを着ける必要がありますが、洗剤は一般家庭用のもので大丈夫。鼻水などの体液や便で汚れた衣服などは、80℃以上の熱湯で10分間消毒して乾燥させるとより衛生的です。
マスクやティッシュなどを処分する際は、ゴミ袋を二重にし、口をしっかり縛ってください。大切なのは①ゴミに直接触れない、②しっかり縛って封をする、③処分後はすみやかに手を洗う。ゴミを回収する職員の感染防止にもつながります。
感染者を隔離した部屋だけでなく、リビングなど他の場所も換気し、空気を滞留させないことが大切です。できれば1時間に数回、完全に空気を入れ替えることが望ましいです。
核家族や単親家庭の場合、子供が看病することになります。子供に兄弟姉妹がいても看病の担当は1人に決め、手分けすることは避ましょう。
自宅療養の看病では気をつけなければならないポイントがとても多いので、子供だけで不安な場合は、住んでいる地域の自治体に連絡して相談してください。また家族内に感染者が発生していないときから、自宅療養期間のポイントや食料・備蓄品を親子で確認しておくことも大切です。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年2月15日号掲載