コロナウイルスは四季のある温帯地域では冬季を中心に流行が起こりやすく、新型コロナウイルスも同様の性質を持っていると想定されます。
夏の高温多湿、紫外線の強い時期にはコロナウイルスは長生きできませんが、冬季の低温では不活化しがたく、乾燥ではより小さな飛沫でエアロゾル感染を起こしやすくなります。では、学校での新型コロナウイルス感染症対策をどのように行うべきでしょうか。
職員、生徒、児童からの学校へのウイルスの持ち込みが心配され、なるべく早期に疑わしい人(発熱、咳、食欲がない、だるさを訴える、ハアハアと肩で息をする、喉がいたいなどの人)を見つけ、医療機関に相談することが、まず対応するべきポイントです。その他、下痢や嘔吐などの症状が出る人もいますので注意します。
毎朝と夕方とに体温を測って記録し、37度以上の人の人数の推移を見て、その増加を注視し、職員の間で情報を共有することも大切です。手書きでも良いのでグラフ化すると傾向が把握しやすくなります。
もしも、症状がある人が出た場合にはその人にマスクをつけてもらい、保健室に移して、症状のある人とない人のエリアを分けます。診断がつくのを待たずに移動させます。症状のある人を保護、介助する職員も決め、症状のある人、ない人の担当を分けます。
症状のある人の部屋の前に防護具(手袋、マスク、ゴーグル、エプロン)やアルコール消毒剤を準備し、専用のごみ箱も設置します。症状がある人が増えてきた場合には、すぐに保健所など関係機関に連絡をすることも必須です。
学校施設にウイルスの侵入をできる限り避けるため、職員は毎日の検温、咳嗽(がいそう)などの症状を記録し、異常のある場合は上司への報告を徹底。手指消毒や咳エチケットの励行、人混みを避け、マスクを着用するなどの基本的な感染予防を行います。
万一、職員の家族に新型コロナウイルス感染症が疑われる症状があらわれた場合にも、管理者に速やかに報告することが必要です。子供たちの健康状態の把握も同様です。
本稿執筆時の2020年12月5日時点では、緊急事態宣言や学校の休校措置などの対策は発せられていませんので、基本的な学校での対応を記しました。新型コロナウイルス感染症の流行が早く収束に向かうのを願うばかりですが、長期化も考えられます。
職員、保護者、そして子供たちと協力しながら、どうやって緊張感を維持しながら対応を長続きさせるのかが、重大な課題となります。
岡田晴恵(白鷗大学教育学部教授)
教育家庭新聞 新春特別号 2021年1月1日号掲載