国際NGOのワールド・ビジョン・ジャパン(以下、WVJ)と塩野義製薬は10月24日、小学生向け国際理解オンラインイベントを開催した。両者の協働による国際理解イベントは昨年に引き続き2回目。今年のテーマは「感染症予防」で、世界がコロナ禍にあるいま、感染症予防が国を問わず誰にも重要であることを学ぶ機会となった。
オンラインイベントは小学校低学年、高学年の部が用意され、それぞれおよそ30組の子供たちが参加した。幼稚園と小学校低学年といった兄弟での参加もあった。
今回は「感染症予防について学ぼう!」をテーマとし、特に「手洗いの大切さ」について考え、上手な手洗いの方法を学んだ。
WVJの菅野快氏は、子供たちにクイズを出題。「手あらいは命をすくう。〇か×か?」。正解は〇。
アフリカでは、5歳になる前に死亡する子供たちの死因の1/4が、肺炎や下痢といった感染症だが、石鹸で正しく手を洗えば防げる病気であり、手を洗えば100万人の子供たちの命が救われるとも言われている。しかし世界のすべての家に手を洗うための水道と石鹸があるわけではない。
手洗いについて各国の子供たちが学ぶ様子を紹介しながら、世界の状況について子供たちの気づきを促していた。
塩野義製薬(株)CSR推進部 感染症グループの笠松良治氏は、新型コロナウイルスの世界的な広がりを解説した。「ウイルスは国境がなく、あっという間に広がるのが怖いところ。感染症は、70~80%は手から感染するので、一番大切なのは“手洗い’なのです」。
手についたウイルスは、口、鼻、目から体の中に入る。手洗いで特に洗い残しが多いのが、爪のあるところ、指の間、親指。おやつを食べる時などに口に入りやすいので、特に指先をきちんと洗うことが重要になる。手を洗う時、石鹸を泡立てた手の平に、反対の手の指先を押し当て、くるくると回して指と爪の間を洗った後、さらに指を丸めて手の平に押し当てて、爪の広い部分を洗うことがポイントだ。
また石鹸がない場合でも、水で15秒洗うとウイルスは100分の1まで減らす効果がある。子供たちはチャットで質問するなど積極的に参加した。
「学んだことをカードにしよう」コーナーでは、事前に用意していた葉書大のカードに、子供たちが自分の手の平の形をなぞり、学んだことをメッセージとして書き添えた。カードは切手を貼れば、離れて住む祖父母や友達に送ることもできる。「作品発表会」では子供たちの思い思いの作品が画面に映し出された。
塩野義製薬の外川真吾氏は「感染症の薬の開発などを通して、誰もが安心して暮らせる社会にしたいと思っている。皆さんも、自分の周りの人を感染症から守る気持ちを大切にして欲しい」と話す。またWVJの目黒由美子氏は「世界の国々の中には、病院や薬がない、手を洗う水もない国があることを知って欲しい。そして、今何ができるかを考えて欲しい」と語る。
WVJは世界の子供たちを支援するチャイルド・スポンサーの活動を広めるため、11月1日から「クリスマス・キャンペーン」を実施中だ。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年11月16日号掲載