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乳酸菌で粘膜免疫強化 國澤純氏ら最新事例を解説

2020年11月16日

冬季に向けて、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行への危機意識が高まっている。これを受け大塚製薬(株)は、「粘膜免疫」に関するセミナーを10月22日に開催した。医薬基盤・健康・栄養研究所 ワクチン・アジュバント研究所センターの國澤純センター長と、女子栄養大学の新開省二教授が登壇し、ウイルスや細菌を体内に侵入させないための「粘膜免疫」の考え方、IgA抗体や乳酸菌B240が果たす役割などに関する最新の研究事例を解説した。

人体には、血液や脾臓など体内の免疫システムである「全身免疫」と、呼吸器や腸管などの粘膜組織に存在する「粘膜免疫」がある。多くの病原体は粘膜組織から感染する。

病原体が体内に侵入してから働きはじめる全身免疫に対し、粘膜免疫は、病原体が粘膜組織から侵入しようとしている最前線の防御バリアとして重要だ。代表的な粘膜免疫システムは「腸管免疫」。腸管の絨毛で産生される「IgA抗体」は、病原体が人体の細胞に結合するのを阻止する機能に特化している。IgA抗体が病原体に結合することで、感染の最初のステップを抑えられる。腸管IgA抗体の産生には、腸内細菌からの刺激が必要だ。IgA抗体は唾液や呼吸器でも産生される。

一方で、腸内細菌は免疫をあげすぎない働きも担う。病原体に対する免疫が強まりすぎて暴走状態になると、感染症の重篤化につながるためだ。新型コロナウイルスの重症化の原因の一つであるARDS(急性呼吸窮迫症候群)も、免疫が暴走状態になり炎症性のサイトカインが大量に産生される「サイトカインストーム」が原因であるとされている。

最新研究では、乳酸菌B240が腸を刺激すると、IgA抗体の産生を増強することが分かった。臨床実験でも、乳酸菌の摂取で風邪罹患割合が低下したり、唾液中IgA分泌量が増加した結果が示されている。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年11月16日号掲載

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