東京都足立区立弘道第一小学校(佐々木浩志校長)は、全校児童340人。「初めて」の状況が多いコロナ禍の中、今年度からの新たな試みとして、全児童の心身の健康状態を観察するアンケート調査を継続的に実施している。
心身の健康観察アンケートは、これまでに6回行っている。1〜3回目までは、5月の休校期間中に自宅で回答を記入し登校時に提出。4回目は分散登校中の6月上旬に実施。一斉登校が再開された7月下旬に5回目を、9月上旬に6回目を行った。アンケート用紙は記名式で、「食よくがなくなった」「おこりっぽくなった」「だれかにあまえたいな(そばにいたい、話がしたい)と思うときがある」などの8項目について、「ない(0点)」「すこしある(1点)」「とてもある(2点)」から回答する。学年ごとの平均値のほか、6回分の回答の累計値も児童ごとに算出する。
また、アンケート用紙には、今思っていることや考えていることを自由に書く項目も設けた。現在の自分の心情を、文章だけでなく絵で表現する児童も多い。低学年ほど他人に甘えたい傾向が、高学年ほど睡眠障害や食欲低下の傾向があることも分かった。教室では元気に笑っているように見えても、心の負担の値が大きかった児童もいる。
学校再開後の5回目・6回目の調査では全学年において、1〜4回目の調査よりも高い平均値が示された。実際に、夏休み以降の保健室は、来室人数・支援を要するケースともに増加した。同調査は、児童全体の心身の状態を知る一つのツールとして機能しはじめている。
一方で、アンケート調査だけでは見えてこない実情もある。東真理子主任養護教諭は、「アンケート調査と保健室での直接の対応の両方をすり合わせて、児童一人ひとりの様子を注視していきたい」と語った。
コロナ禍の影響で今年度はまだ実施できていないが、東主任養護教諭は毎年、「いじめ予防授業」を3時間の特別活動として実施してきた。いじめは子供たちの生涯にわたって睡眠障害などの悪影響を与えるため、医学的観点を含めて授業を構成。いじめ発生による健康阻害を未然防止するロールプレイングなどを行い、「見ているだけの子」から「助ける子」への変化を促す。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年11月16日号掲載