学校給食費の徴収・管理等の公会計化の実施状況は教育委員会による差が大きく、全体の実施率は26%に対し実施予定のない教委は42・9%にのぼり、業務システムの導入・回収の経費負担が支障になっている。教職員の負担軽減の一環として、私会計の移管を文部科学省が昨年7月「ガイドライン」をまとめ各自治体に要請したもの。
文科省は先ごろ「学校給食費に係る公会計化等の進捗状況調査」の結果を公表。学校給食を実施する学校を設置する1799教委のうち、公会計化を実施しているのは約4分の1にあたる438教委(26・0%)、実施・検討中の教委が524(31・1%)で、実施・検討中の合計で962(57・1%)だった。
一方、実施予定がないと回答した724教委(42・9%)はその支障理由として、「業務システムの導入・改修の経費」、「同運用の経費」、「人員確保」が上げられた。さらに「保護者との信頼関係のある学校が担った方が円滑」、「他市町村等の動向を見て判断したい」等の意見もあった。
教委の「公会計化」の進捗を県別にみると、最も進展している群馬県は76%で実施、準備・検討中が16%で合計92%まで進行。次いで高知県は実施59・4%、準備・検討中が15・6%で75%の進捗。実施率が最も低い佐賀県は実施、準備・検討中をあわせても23・5%の実施率だった。
学校給食費は従来では学校単位で会計処理する「私会計」とされ、学校が徴収・管理業務を担っていたため、滞納する保護者への督促業務を教員や事務職員が行った。学校本来の業務である学習・生徒指導にあてるべき時間・労力の妨げとなることもあった。
「公会計」とすることで自治体が他の徴収・管理業務と併せて集中することが可能になるという。公会計化のメリットでは、教員の業務の負担軽減、徴収効率の向上があげられる。また共同仕入れ等で購入費用の削減や円滑な献立作成、運営につながるという。
さらに保護者メリットもある。私会計では指定金融機関での振込・振替だったため、子供の入学時に口座の開設手続きをとらなければならなかった。公会計では学校指定以外の金融機関からの納付が可能なうえ、自治体によってコンビニやネットでクレジットカード払いも受け付ける。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年11月16日号掲載