エアコンに換気する機能はないため、今夏は新型コロナウイルス感染症(COVID―19)対策としてのこまめな換気が欠かせない。「コロナ禍における“熱中症対策”と“上手な換気の方法”」(主催=ダイキン工業)が、7月21日にオンラインにて開催された。講師として帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長の三宅康史氏が登壇し、感染症対策と熱中症対策を両立させる換気方法を説明した。
スポーツで労作性熱中症になりやすいのは10代で、肉体労働による労作性熱中症を起こしやすいのが40代。日常生活、特に屋内での非労作性熱中症になりやすいのは高齢者だ。高齢になるほど女性の発症が増加している傾向もある。
新型コロナウイルス感染症は症状がなくても感染している可能性もあるため、換気をして飛沫の長期残留を抑制することが大切だ。飛沫の飛び交う場所には、15分以上留まらないようにする。
通気性の良いマスクは飛沫の飛散を防ぐ効果が良いとはいえないので、冷房の効いているところではマスクをするなど予防策をとるようにする。
ほとんどのエアコンは換気ができないため、エアコンとは別の手段で室内の換気をする必要がある。そのため、基本的な換気の方法として重要なのは、定期的な窓開けによる換気だ。2013年以降に建てられた家にある24時間換気設備のスイッチは常にオンにしておくことが推奨される。
換気で重要なのは、空気の通り道を作ること。窓や扉が2か所ある部屋では、対角線上の反対側に位置する窓を開けるようにする。「1時間ごとに10分の換気を1回」の頻度で行うよりも、「30分間ごとに5分の換気を2回」行うように、換気の機会を複数回にするほうが、集中力低下などにも効果的だ。入口側の窓を小さく開け、出口側の窓を大きく開けることで、空気が勢いよく入ってくる。
窓が1つしかない部屋では、送風機を窓に向けて設置することが効果的となる。エアコンから離れたほうの窓を開ける。
また、窓を開けると夏の熱い外気が屋内に入ってくるので、換気時は熱中症リスクが上がる。そのため、換気中もエアコンを稼働させたままにして、熱中症を予防する。
他にも、室外機の周辺に障害物などがあると、空気が滞って熱が外に逃げていかないため、その点にも注意が必要だ。エアコンのフィルターにほこりがたまっても空気の通りが悪くなるため、2週間に1度はフィルターをエアコンから外し、掃除機でほこりを吸い出すようにする。
エアコンにある「除湿」や「ドライ運転機能」は、湿度のセンサーで部屋の空調を管理している。一方、「冷房運転」は温度センサーで部屋の空調を管理しているため、湿度の高い夏は、除湿やドライ運転機能モードを使う。湿度が20%ほど違うと、体感温度は4度も変わる。そのため、湿度は40~60%を維持することが大切だ。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年8月17日号掲載