埼玉県羽生市立新郷第二小学校(小林秀行校長)は、全校児童133人の小規模校。小中学生のむし歯が少ない羽生市が、四半世紀以上も推進する歯科保健教育を実践している。
「認めてほめて勇気づけて伸ばす指導」を実践する同校では、口腔衛生指導年間計画に基づき、学年ごとの目標課題を設定。養護教諭を中心に、全教職員が指導に取り組む。学校歯科医などを講師とする授業のほか、全国小学生歯みがき大会にも毎年参加している。
給食後には、埼玉県歯科医師会が作成した「歯をみがこう!」の歌に合わせた5分間の「はみがきタイム」が毎日ある。児童は自席で手鏡を見ながら、決められた順番に従って歯をみがく。上手な児童には、「はみがきかがやき賞」のシールが渡される。集めたシールの枚数に応じて歯みがき粉や手鏡をプレゼントする。
他にも、授業前に「目と口の体操」を全校で実施。目のストレッチとあいうべ体操・唾液腺マッサージを行い、唾液の分泌量が多いとむし歯予防になると教える。
毎週火曜日はフッ化物洗口を、金曜日には学級担任による「ハブラシチェック」を行う。毛先の開いたハブラシは児童が交換。小林校長は「フッ化物洗口の薬品は自治体が補助。行政支援の貢献度は大きい」と話す。
毎月第三水曜日の歯みがき後には、「マイ歯ッピーチェック」として染め出しを実施。ワークシートに記入されたみがき残しを学級担任が確認し、ABC評価を行う。みがき残しの多い子には、保健室で歯みがき指導をするため、例年下半期になるとC評価の児童が減る。
6月上旬の歯と口の健康週間では、標語やポスターを校内で募集し、優秀作品を表彰している。標語には全児童が参加し、全作品を廊下に展示。
「クラス対抗歯みがきグランプリ」では、児童保健委員と養護教諭が各教室を2週間巡回し、歯みがきを学級単位で評価。優勝した学級の児童全員にハブラシが贈られる。
家庭や地域との連携・協働も綿密だ。80歳以上で20本の永久歯をもつ8020達成者と交流する「8020大作戦」、栄養教諭が歯に良い朝食などの作り方を保護者らに紹介する地域学校保健委員会も実施される。
熊木養護教諭は、「歯みがきが不得意な子も楽しく歯みがきできる工夫をして、全員が生涯健康な歯をもつ歯科保健教育を続けたい」と語った。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年8月17日号掲載