来年４月には近隣２校と統合され、「上総小学校」となる千葉県君津市立久留里小学校（森義夫校長）は、車での通学も多い児童数７４人の小規模校。近隣校とも保健活動の情報共有を行い、児童の体の柔軟性を高める取組が実施されている。
大会練習や日頃の運動不足から、他教員の理解を得て筋肉柔軟性計測を実施
君津市と富津市では毎年、小学４～６年生を対象にした陸上大会「君津市・富津市 小学校陸上記録会」が５月下旬に行われる。これに向け４月から行われる練習中に、ひざなどの痛みを訴える子が多かった。
２０１６年から運動器検診も学校健診の検査項目に追加されたことから、同校では立つ・歩くなどの移動機能が低下するロコモティブシンドローム（運動器症候群）を予防するため、全校児童を対象にトーマステストやエリーテストなどで「筋肉柔軟性計測」を実施。作業療法士による観察も行い、正しい姿勢を保てない児童への助言を聞いた。
児童一人ひとりに配付する計測結果や、痛みのチェック項目を確認し、ストレッチとして適切なメニューを指導。数日間ストレッチを実施させることで、練習中の痛みの改善も見られた。「近隣校でも実施されているので、今後は計測に時間がかかる課題をクリアしていきたい」と中澤養護教諭は語った。
親子ストレッチ教室の参加者は毎年多い
同校の夏季休業中には「親子ストレッチ教室」を希望者対象で実施。運動習慣が全くない子もスポーツクラブに入っている子も参加する。スポーツテストでの長座体前屈の結果が高学年になるにつれて良くなる、痛みを感じた際にストレッチを行おうと考えるようになるなどの意識改善の効果は児童に表れている。
ゆずろう隊が交通安全を啓発
同市では、毎年１０月に「生きた水の里 久留里城祭り」が行われる。地域連携を重視する同校では、学校で地域クラブに６年生が甲冑を作る指導をしてもらい、半年かけて、自分が祭りの行列時に着て歩くための甲冑を製作する。
台風により祭りが中止となった一昨年は、地域と連携した保健・安全活動として、交通安全週間を活用。地元警察官と共に「ゆずろう隊」として地域をまわり交通安全を呼びかけた。ＣＯＶＩＤ―１９の影響を受けた今年度も、甲冑姿での交通安全運動の実施を視野に入れている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年7月20日号掲載
