厚生労働省の「『日本人の食事摂取基準』策定検討会」は、昨年12月24日に「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を公表した。国民の健康の保持・増進のため摂取することが望ましいエネルギーおよび栄養素量を定める同基準は、健康増進法に基づいて5年ごとに改定されている。今年度から使用される新たな基準では、50歳以上に対し、細かな年齢区分での摂取基準を設定。高齢者のフレイル予防や若年層の生活習慣病予防にも対応した。
きめ細かな栄養施策を推進するため、50歳以上に対し、「65~74歳」と「75歳以上」の2つの区分を設定した。
また、高齢者は加齢によって体力が弱り、外出する機会が減ると手助けや介護が必要になる。健常から要介護へ移行するこの中間の段階の状態「フレイル」を予防するための基準を、今年度の改定で新設。総エネルギー量に占めるべきたんぱく質由来エネルギー量の割合(%エネルギー)では、65歳以上の目標量の下限が、13%エネルギーから15%エネルギーに引き上げられた。
若いうちからの生活習慣病予防を推進するため、複数の対応を基準に盛り込んでいる。
①飽和脂肪酸やカリウムに対する「小児の目標量」を新たに設定。②ナトリウム(食塩相当量)における「成人の目標量」を「0・5g」(1日あたり)に引き下げ、高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした量として、新たに「6g未満」(1日あたり)と設定。③コレステロールについて、脂質異常症の重症化予防を目的とした量として、新たに「200㎎未満」(1日あたり)に留めることが望ましいと記載した。
他にも、骨折リスクを上昇させない必要量に基づき、ビタミンDの摂取目安量を変更した。
鉄の推奨量策定にも変更があった。これまで14歳以下に対する推奨量算定係数は1・4だったが、6~14歳に対しては成人と同じ1・2を適用することになった。
また、食事摂取基準を利用する専門職員などの理解の一助となるよう、目標量のエビデンスレベルを対象栄養素ごとに新たに設定している。
詳細=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年4月20日号掲載