給食が食育の教材となるよう、献立作成では行事や旬の食材等々に思いを巡らせます。こうして献立ができ、調理師さんたちの魔法の手による「おいしい給食」が、子供たちに届きます。
作り手の様々な思いは目には見えないので、言葉にして教室に届けることにしました。「給食通信」の誕生です。1.旬の食材、2.行事食、3.料理名の由来、4.給食室の様子、5.給食の目標等を題材にほぼ毎日発行しました。今年度は、この「給食通信」を取り上げていきます。
4月の給食定番メニューといえば、「花見ずし」と「たけのこごはん」です。春のある日の出来事を書いた『お花見気分で花見ずし』では、食育ということより育てたい子供像を描いて、感性豊かに育ってほしいとの願いを込めました。
通年で手に入るゆでたけのこに比べ「皮つきたけのこ」は、3~5月のこの時期にしか出回りません。4月、1年生の入学をお祝いして「たけのこごはん」を取り入れ、実物展示と併せ『山からの贈りもの……』=写真=を発行しました。【以下は給食通信より抜粋(原文ルビ付き)】
<(きょうのこんだては)江東区の名物きゅうしょくのひとつ「花見ずし」です。お花見の季節4月にいつも登場するおすしです。さくらの花はもうおわりになりますが、これからいろいろな花が咲いてきます。お花をながめる心のよゆうができるといいですね。>
<四月も半ばをすぎたというのに、はだ寒い日がつづいていますね。寒いからといってちぢこまっている人はいませんか。お山の竹林には、元気な子どもがニョキニョキ顔を出していますよ。
山に春の雨がふると、地面からひょっこり顔を出すのは、竹の子ども「たけのこ」です。たけのこは地面から顔を出すと、あっというまにすくすくのびて何メートルもの竹に成長します。みなさんもこの竹のようにすくすくのびてほしいなと思います。そんな願いをこめてキッチンセカドラ(※)では、皮つきの新たけのこをゆでて「たけのこごはん」をつくりました。春の味です。
さて、保健室前の給食コーナーには、きのうほったばかりのたけのこがかざってあります。このたけのこは千葉の木更津というところにある「のぞみ牧場学園」の方が送ってくださいました。>
編注※=給食通信を発行している学校の調理場の愛称・通称
【著者】大留光子=元栄養教諭、現在は順天堂大学・武蔵野専門学校講師
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年4月20日号掲載