埼玉県上尾市立大石小学校(新井宏校長)は、「子供のよさを認め褒めて伸ばす教育」を推進し、不登校ゼロを目指している。
児童数950人の大規模校だが、2人の養護教諭を中心に、学校全体で児童一人ひとりを丁寧に支援している。
同校では欠席連絡カードを活用し、理由の不明瞭な欠席が3日間以上続く児童の早期発見や、管理職・教育相談部・生徒指導委員会・保健室間での情報共有をこまめに実施。保護者との教育相談を行い、学校のみでの解決が難しい場合、同市の小中学校と連携している心の保健室「さわやか相談室」の相談員を保護者に紹介。相談内容は校内でもフィードバックし、協力体制づくりを進めているため、担任教諭と保護者との間で解決したケースも多い。
教育センターのスクールソーシャルワーカー(SSW)は学校と家庭をつなぐ役割を担っており、同校では保護者が学校に送り出せない児童を自宅まで迎えにいくことで登校できる児童もいる。学校での対応が難しい保護者へのサポートは、校長・教頭が外部機関とのパイプになることで、SSWが対応している。新井校長は「まず学校に来てほしいので、一人ひとり丁寧に対応して楽しい学校づくりに励んでいる」と語った。
登校後に保健室の相談コーナーで友達と一緒に給食を食べる児童や、唯一通える多目的室で教員から授業を受ける児童もいる。喜多美雪養護教諭は「何が子供の支援につながるか分からないからこそ、今できることをすべてやるのが大切」と話した。
保健体育科では、感情の起伏を赤色や青色の風船で表現した「心の健康」の授業を実施。自分の心の動きに気付くと自分で対処できるようになると伝え、音楽に合わせて腹式呼吸法を指導する。授業後に自分のストレス対処法を各自に書いてもらい、学級ごとに掲示しクラス全体で共有する。
他にも、3月には心を育てるための「ありがとう 心の花を咲かせようキャンペーン」を実施。在校生は6年生への感謝の言葉を書いて掲示コーナーに貼り、卒業生は感謝したい人を自由に選んで感謝の言葉を書き、卒業児童の感謝の心が保健室前の廊下に紹介される。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年3月16日号掲載