「水痘」(すいとう:みずぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスの初めての感染によって起こる病気です。日本では主に冬から初夏にかけて、小児を中心に流行します。第二種の学校感染症で、すべての発疹がカサブタになり完治するまで出席停止になります。
治った後も、原因ウイルスは体内に残って潜伏し、免疫が低下すると「帯状疱疹」という強い痛みを伴う病気を引き起こします。そのため、50歳以上の人に向けて接種させる水痘ワクチンによる、帯状疱疹の予防も注目されています。
14~16日の潜伏期間をおいて、腰・胸・背中などの皮膚に赤い発疹ができます(10日未満や21日程度となることもあります)。その上に1~4㎜の水疱ができて、手足や頭にも広がります。この水疱が破れたり化膿して、やがてカサブタとなって落下します。すべての発疹がカサブタになると、完治となります。
感染力が強く、家族内で患者が出ると水痘に未感染の兄弟などの約9割が感染・発症するとされます。保育所や幼稚園、学校などで流行しやすいです。
水痘・帯状疱疹ウイルスにはアシクロビル、パラシクロビルという薬が有効です。感染後は早めに医療機関を受診しましょう。皮膚症状には石炭酸亜鉛華リニメントなどの外用薬があり、水疱からの細菌の二次感染には抗生物質が使われます。患児には、水疱をかかないように声掛けをしましょう。合併症としては、髄膜脳炎や急性小脳失調症などがあります。
水痘ワクチンは、2014年10月から定期接種となりました。今も1~2歳を対象に、3か月以上の間隔をあけて2回のワクチン接種が実施されています。3歳以上も、任意で受けられます。
空気感染しますから学校で1名でも患者が出た場合は、周囲の子供の水痘の罹患歴やワクチン接種歴を速やかに調査し、対応します。水痘の免疫がなくても、発症者との接触から72時間以内であれば、ワクチン接種によって発症阻止または軽症化が期待できます。
岡田晴恵(白鷗大学教育学部教授)
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年2月17日号掲載