最新の調理設備・機器・サービスが一堂に集結する「フードシステムソリューション2019」が、9月11~13日の3日間、東京ビッグサイト青海展示棟で、開催された。主催はフードシステムソリューション(F-SYS)実行委員会。2ホールにわたる各団体・企業のブース展示のほか、聴講無料のセミナーも実施。3日間の来場者数は合計で4万6138人となった。次回は2020年10月7日~9日に、同展示棟で開催予定。
F-SYSのほか、「フードセーフティジャパン(FSJ)」「フードファクトリー(FF)」「フードディストリビューション(FD)」「SOUZAI JAPAN(SZ)」を同時開催。「フードeコマース」も今回から新たに開催した。
9月12日のセミナー「学校給食における大規模調理施設設備の状況」では、コーディネーターとして女子栄養大学の金田雅代名誉教授が、パネリストとしてタニコー(株) 官需部 課長代理の川島賢司氏、(株)中西製作所 営業企画部 営業企画課課長の古水豪氏、日本調理機㈱ フードシステム推進部 営業推進部長の黒田晃氏が登壇。大規模調理施設設備の導入事例を紹介した。
古水氏が紹介した同センターは、2017年9月から新たに稼働した日本最大級の給食センターで、毎日2万2000食を作っている。1階に調理室、2階に見学・調理実習室、3階に炊飯室やアレルギー対応洗浄室を用意した立体構造で、限られた土地面積を広く活用。1階から3階までつながった消毒保管機もあり、回収した食器を3階で洗浄後、1階までエレベーターで搬送する。
地場産野菜活用のため、広さを確保した泥落とし室や野菜類下処理室を用意。手作り給食では、とうもろこしなどを当日に蒸して配送する。
川島氏が紹介した同センターは、2017年度から稼働。長野市では、小学校センター8000食、中学校センター4000食を1か所に統合管理することで、運営経費の削減に成功。2万㎡の敷地で、運営管理しやすい小中別棟建てゾーニングにした。
「和え物ボイル室」など、加熱前後の調理室の完全分離や、金属検出器の導入による異物混入防止策なども徹底。アレルギー調理室は、前室(アレルギー上処理室)からのみ入室。他の調理室を絶対に通らない動線となっている。2階の見学エリアは回廊式。回転釜体験コーナーなども用意し、広範囲を見学できる。
黒田氏は、今年4月から稼働を開始した同調理場(倉敷市)を紹介。建物面積が狭かったため、3階建てにすることで十分な調理場面積を確保した。小学校6校・中学校14校への約1万2000食を調理している。
衛生管理面では、交差しにくい動線を用意。学校給食を乗せたカートごと、職員が輸送する。アレルギー対応では、何重にも袋入りにして入念なチェックが実施され、コンタミネーション対策も徹底している。
カゴごと洗える食器洗浄機のほか、ごみやほこりがたまらないようにふさぎ板を設置し、掃除回数を減らす工夫など、職員の作業負担を軽減させる設計も魅力的だ。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年10月28日号掲載