今回は、食べることへの興味を引き出す試みの一つとして取り組んできた「給食ノート」を紹介します。このノートは毎年2学期、4年生と始めていました。クラスに1冊渡し毎日順番で給食や食べ物のことなどを書いてもらい、翌日、私(栄養士)が返事を書いて戻すものです。
特に強制はしなかったのですがほぼ毎日届けられ、子どもたちが苦手な食べ物を克服していく様子や、給食を残さず食べられたということに喜びを感じている様子が伺えました。このことから、偏食是正のターニングポイントは4年生だと実感しました。
時には、家に持ち帰った児童の保護者からの感想が書き添えられていたり、担任の先生からの激励メッセージがあったり、その内容にとても感動したことを思い出します。応援してくださる方々がいて、ノートを続けることができました。
ぼくは、魚が嫌いなのであじのフライを食べれるかしんぱいでした。でもおいしかったので全部食べれました。グラタンはすきな食べものなのでうれしかったです。あしたもおいしい給食を楽しみにしています。
(返事)ほんとうは、あじの大きさをもう少し小さくしたかったのですが、立派なあじが届いてしまいました。○○くんは魚が苦手なのにチャレンジして、全部残さず食べてくれたんですね!そう、4年生って苦手なものを克服(自分のものにする、大変なことを乗り越えること)できたり、頑張ろうとする力が出てくる年齢なのです。他の苦手なものにもチャレンジしたら、きっと「きらいなものなど一つもない大人」になれますぞ!
栗ごはんにはいろいろな野菜が入っていて、特においしかったです。しつ問があります。こんだては、全部大とめ先生が考えているのですか?どうしたらそんなにおいしい料理が作れるのですか?これからもずっ~とオイシー、ヘルシー、カラダニイー給食WOお願いします。
(返事)こんだては、ほとんど私、大留が考えています。でもキッチンバンビ(給食室)のシェフたちのたくさんのアドバイスやアイデアによって、私のこんだては、もっともっとすばらしいものになっています。
つまり、おいしい給食のひみつは、キッチンバンビのシェフたちのうでとみんなのことを思う気もち=愛情がおいしくさせていると、私は思っています。お仕事だからとただ毎日、決められたことだけをするのではなく、自分の頭で考え、こころをこめて「どうしたらおいしくなるかな」「どうしたらみんなによろこんでたべてもらえるかな」とくふうする、それがおいしくするまほうなのかもしれませんね。
大留光子=元栄養教諭、現在は順天堂大学等で講師の他、学校給食Web「おkayu」のディレクター
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年10月28日号掲載