(公社)全国学校栄養士協議会は「令和元年度 第60回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」を8月7・8日に長良川国際会議場(岐阜県)で開催した。テーマは「『栄養教諭を中核とした学校における食育の推進』~岐阜から発信 学校給食でつながる ふるさと・人・未来~」。文部科学省による説明やオリンピック元日本代表による記念講演、シンポジウムや8分科会での研究協議が行われた。
令和2年度の達成を目指す第3次食育推進基本計画の各目標値について、現状報告を行った。
「公立中学校における学校給食実施率」は87・5%(平成26年度)に対し、現状値は93・2%(平成30年度)で、目標値をすでに達成した。目標値が30%以上の「地場産物の活用割合」は現状値が26・0%(平成30年度)。「国産食材の活用割合」は目標値の80%以上に対し、現状値が76・0%(平成30年度)。一方、「朝食を欠食する子供の割合」が4・6%(令和元年度)となっており、目標値である0%の実現が難しい状況となっている。
この現状を踏まえ、同省の昨年度の委託事業や指導の手引の改訂内容、学校給食実施基準等の一部改正、栄養教諭の配置数推移を紹介。教育的配慮のある学校給食を提供し、幅広い役割を果たす栄養教諭が食育の中核になることへの期待を寄せた。
選手時代に実践していた疲労回復のための食事メニューや、座ったまま実践できるストレッチ・筋力トレーニングを紹介した。勅使川原氏は「子供たちにとって何が必要なのか、安全かどうかは、手作りの料理で教える必要がある」と語った。
シンポジウムでは、岐阜女子大学家政学部健康栄養学科の水野幸子教授、岐阜県PTA連合会副会長の横井由美子氏、岐阜県八百津町立八百津小学校の永田桂子栄養教諭がシンポジストとして登壇。コーディネーターは文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課の清久利和食育調査官。
同県では、子供たちが生涯にわたって望ましい食生活が送れるように、小中高等学校の発達段階に合わせて実践力を身につける「GIFU食のマイスタープロジェクト」を実施している。小学校では、県内の全6年生を「家庭の食育マイスター」に任命し、児童が学校で学んだ内容を家庭で実践することで家庭の食育を推進。中学校では、より望ましい献立を考え調理する「中学生学校給食選手権」を実践。高等学校では、希望する学校に対して専門分野の外部講師を派遣し、高校生食育リーダーの育成を図っている。
県内の各小学校では、PTAと連携し、調理技術の段階表を児童が家庭で実践する取組や、登校前に家庭で弁当やおにぎりを自作する「お弁当の日」「おにぎりの日」などを実施している。
中学生の「時間効率への意識が、家庭で料理の手伝いをしてわかるようになった」という声や、大学生になった学生が「一人暮らしで自炊が始まり、一食で栄養もエネルギーも摂れる一品を必ず作っている」と話していた様子も紹介した。
スーパー食育スクール事業・つながる食育推進授業としての同県での4年間の成果は、県平均を上回った体力テスト結果などにも表れた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年8月19日号掲載