「持続可能な目標(SDGs)」の実施に取り組むための国家戦略である「SDGs実施指針」の優先課題取組の1つに、省エネルギーの推進がある。学校等における省エネルギー対策に関する検討会(文部科学省)は、3月に「学校等における省エネルギー推進のための手引き~省エネのすすめ方・つづけ方~」を公表。児童生徒や教職員などに我慢を強いることなく、適切な環境を確保して日常生活のエネルギーの無駄を省くための基本的事項をまとめた。
「学校等における省エネルギー推進のための手引き~省エネのすすめ方・つづけ方~」は全4章で構成されている。
第1章では、「学校に求められる省エネルギー」を解説している。「省エネルギー」は「エネルギーの使用の合理化」であり、エネルギーの使用の合理化を進めるためには、「適切な学習環境や作業環境を維持した上で、日常生活におけるエネルギーの無駄な使用をなくすことが重要」だと説明している。
第2章では、組織的な省エネルギー推進に取り組むため、教育委員会と学校等および首長部局の連携についてまとめている。
継続的な省エネルギー取組を推進するため、教育委員会が主体となり、学校などのエネルギー管理マニュアルを作成し、マニュアルに基づく省エネルギーの取組状況を定期的に確認する。不十分な場合は学校などに対して指導や助言を行う必要がある。
常に省エネルギーの取組状況を把握することが重要なため、「エネルギー使用実態」や「エネルギー管理状況」などを記録することも重要だ。エネルギー使用実態を把握するためには、灯油やプロパンガス、電気など、種類の異なるエネルギーの計量単位を原油換算のもの(単位:kL)に統一し、エネルギー使用量を一括管理することが求められる。また、エネルギーを使用する施設設備や教育機器などがどこでどのように使用されているかを把握する。
これらからエネルギー使用実態を踏まえ、明確な目標を立てる。取組方針には数値目標や取組期間、対象範囲など具体的な方針を盛り込む。
「省エネルギーの取組状況の評価方法」は、第3章で解説。「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)では、「エネルギー消費原単位」(単位当たりのエネルギー使用量)を用いて、中長期的な推移から評価し、エネルギー消費原単位を中長期的に見て年平均1%以上低減することを目標に掲げている。
空調設備やICTなどの導入で校舎が高機能・多機能化すると、省エネルギーの取組を行っていてもエネルギー消費原単位が増加する。その場合の暫定措置についてもエネルギー消費原単位の設定例を紹介している。
省エネルギーの取組事例は、新潟県根岸小学校など4例が第4章で取り上げられた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年7月22日号掲載