環境省は6月2・3日に平成31年度「熱中症対策シンポジウム」を都内で開催した。専門家による熱中症対策の解説、自治体の事例紹介等が行われ、自治体職員や教職員などが参集した。群馬・埼玉・東京(中野区・町田市)・神奈川・兵庫・高知・福岡の各県会場でも中継された。
講演内容は「熱中症予防のための食生活」。
発汗などで体重の3%以上の体液を失うと、運動能力が低下する。運動の前後で体重を量り、減少率が2%以内に収まるよう水分補給をすることが大切だ。2Lのペットボトルに水やお茶を入れ、一日の飲水量を確かめることも目安になる。
食事は一日の水分補給に役立つ。汁物や夏野菜の煮物、冷やしただし汁やスープを麺類や白米にかけ、水分の多い献立を考える。果物や果汁100%のジュース、牛乳も効果的だ。生体リズムに従いホルモンが体内で待機するので、少量でも定刻に食べることが重要だ。「夏バテ予防には、素麺などの冷たい料理のほか、エネルギー源となる食事が必要。豚肉や油を使う温かい料理も一日の中で組み合わせる」。
講演内容は「スポーツにおける熱中症予防」。
学校での熱中症の発生報告が約5000件に増加する一方、学校管理下での熱中症死亡事故件数は、2013年頃から減少している。死亡事故の多くは運動部活動。9割は男性で、7割が高校生だった。特に肥満者の発症が多い。
熱中症は運動強度が高いと短時間でも発症する。持久走などで1時間以内に発症した報告例もある。「適度な高温下での運動で発汗量を増加させ、短期暑熱順化をしてほしい」。
環境省は「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2019」等を発行している。
詳細=www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年6月24日号掲載