酷暑により夏場は日中の気温が35度を超える日々が珍しくない近年、学校では児童生徒へのより効果的な熱中症対策が求められている。千葉市では従来から、水分のこまめな補給や衣服の調節など熱中症への指導を行ってきたが、抜本的な対策が急務だとして、先ごろ小中学校にエアコンや大型扇風機の導入が決定した。その経緯について千葉市教育委員会教育部総務課の大須賀隆之課長補佐と大友美嗣主査に話を聞いた。
2020年の夏前までに、すべての市立小中学校の普通教室にエアコンを導入します。
加えて今年6月までに冷水機251台を導入、またエアコンが導入されない体育館には大型扇風機438台を整備します。その内容は、冷水機を各校に1~3台、大型扇風機を小学校2台(大規模校は3台)、中学校と特別支援学校は3台ずつ。昨年12月に補正予算として8100万円を計上しました。
大型扇風機は電源をつなぐだけで使える可搬式を導入予定なので工事の必要はありません。夏の体育館は高温多湿になるため、何らかの対策が求められました。6月中旬までに全校への導入を完了し、今夏の使用に間に合わせるため補正予算に組み入れた訳です。
学校ではうちわを各自持参するといった対策で暑さを凌いでいました。また、水筒に冷たい飲み物を入れて持参したり、保冷剤を持たせたりして対処している学校もありました。いずれも一時的な対処であるため、エアコンや大型扇風機の導入が急がれていました。
最近は保護者からも「子供の熱中症対策に万全を期してほしい」との声が届いていました。千葉市教育委員会ではすでにエアコンの導入は決まっていたので、エアコン以外の酷暑対策としてどのようなものが効果的かというアンケートを、昨年10月、児童生徒や教職員に対して実施しました。
アンケート結果で、特に設置希望の声が多かったのが大型扇風機と冷水機だったため、補正予算に計上し、導入を決定しました。導入する扇風機は直径100㎝と大型なので、体育館の空気を強力に循環することが期待されます。
実際の使用は学校の判断に任されますが、朝礼などの学校集会や体育の授業、中学校では部活動などで体育館を使用する際に大型扇風機の活用が考えられます。基本は体育館での活用になりますが、キャスター付きで移動が容易なため、体育館以外の場所でも活用は可能です。今後は使用上の注意点などを学校に周知していく予定です。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年4月22日号掲載