学校給食で子供たちが国産ニジマスに親しみ、その生態を知ることで身近に感じて欲しい――全国養鱒振興協会は1月23日、東京・江戸川区立第二葛西小学校(平川惣一校長)で、「ニジマス特別授業&特別給食」を実施した。5年生を対象にした授業では児童から積極的な質問もあったほか、全校児童に提供された学校給食も好評となった。
全国養鱒振興協会では毎年、小中学校などの教育現場を対象とした「ニジマス特別授業&特別給食」を実施している。第二葛西小学校5年学年主任の井出紘貴教諭は「切り身ではない、実際の魚について知る良い機会」と語る。授業では同協会の小堀彰彦会長理事が「ニジマス博士」として登壇した。
ニジマスは食卓に上る機会の少ない淡水魚だが、実はキャンプ場の川や湖などで馴染みがある人も多い。「太平洋サケ属」で、シロサケ・ヤマメ・ベニザケ・キングサーモンなども近い仲間だ。淡水で育ち、冷たい、きれいな水の中でしか生息できない。日本では1877年にアメリカから卵が寄贈され、養殖が始まった。食材としては、成長過程の子供に最適な高たんぱく・低カロリーで、ビタミンも豊富、DHAも摂取できる。
授業ではニジマスの生態や歴史、栄養についての解説、「採卵」から「ふ化」まで、また養鱒場のようすなどを画像と共に解説。児童は熱心に耳を傾けていた。授業の最後はクイズ形式で振り返りを行い、ニジマス博士への質問コーナーも。「ニジマスは20℃以下の冷たい水の中でしか生きられないと分かった。地球温暖化が進むと、食べられなくなるのか」という質問に、ニジマス博士は「昔と比べて2℃ほど水温が上がった。さらに上がると、(養鱒場は)北の方へ移るしかない」と答えていた。
当日の学校給食には、同協会より切り身の国産ニジマスが提供された。この日の献立はニジマスのさざれ焼き、麦ごはん、桜海老と小松菜のふりかけ、アーモンド粉ふきいも、白菜スープ、りんご、牛乳。「おいしい!」と完食する児童の姿が見られた。高木直美学校栄養職員は「食材である魚のことが、児童にも理解できたと思う。子供たちは魚が好き。骨が苦手な子供にも、『骨があるから泳げるんだよ』と伝えている」と話す。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年2月18日号掲載