インフルエンザは2~3日の短い潜伏期間の後、急な悪寒から突然の発熱で発症します。倦怠感があり、筋肉痛、関節痛などが起こり、発熱後、数日で咳や鼻水もひどくなります。腹痛や嘔吐などの症状が出ることもあり、普通のかぜよりも症状が重くなります。
感染力が強いため、学校ではクラスや学年ごとに流行が起こることがあり、冬に注意が必要な感染症です。
「第二種」の学校感染症で、発症した翌日から5日以上を経過し、なおかつ解熱後2日(幼児は3日)を過ぎるまでは出席停止となります。
インフルエンザは重症化すると気管支炎や肺炎、特に子供では「インフルエンザ脳症」などの重大な合併症を起こすことがあります。呼吸が速く、息が苦しい、また胸が痛いなどの場合は肺炎の心配があります。反応がおかしい、ぼうっとしている、異常な行動や言動を取るなどの場合は、インフルエンザ脳症の可能性があるので、すぐに医療機関を受診します。
また、解熱剤にも注意が必要です。アスピリンは小児にライ症候群という重症な脳症を起こすことがあるので、使用してはいけません。ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸などの消炎鎮痛解熱剤も小児のインフルエンザ脳症を悪化させる可能性があり、日本では使用しないことになっています。
インフルエンザに罹患した子供は、目を離さないように注意して看護し、暖かい部屋で安静に寝かせ、水分を十分に与えます。ワクチン接種は13歳未満の小児は2回、13歳以上は通常1回接種します。重症化を阻止する効果があるので、11月中になるべく接種し、遅くとも12月前半に完了することが望ましいと考えられています。インフルエンザウイルスは毎年少しずつ形を変えて流行するので、毎年接種しなければなりません。
咳やくしゃみで感染するので流行時に人混みを避け、手洗いを励行し、口の中を衛生的に保つことが予防につながります。咳が出る場合はマスクをし、マスクがない場合にはティッシュなどで鼻や口をおさえるなどの咳エチケットを守ることも大切です。学校では教室の加湿と換気を徹底します。
岡田晴恵(白鷗大学教育学部教授)
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年11月19日号掲載