TOTOなどトイレ関連6社による研究活動組織である「学校のトイレ研究会」では、児童生徒が敬遠する学校のトイレの5K(臭い・汚い・怖い・暗い・壊れている)を払拭し、快適な学校のトイレの実現を目的とした調査研究を行っている。昨年9月~10月には市区町村を対象とした「2017年度全国自治体アンケート調査」を実施。各自治体における学校のトイレ状況をまとめた。
多機能トイレ(車いす使用者用トイレ)の設置場所は、「校舎(教室棟)と体育館棟の両方」が30%、「校舎のみ」が最も多い33%。「体育館棟のみ」は5%だった。個々の学校の違いはあるが、7割以上の自治体において校内に1か所以上設置されていることが分かった。シャワー設備(屋外プールを除く)の有無については、74%が「ある」と回答したが、「多機能トイレの近く」への設置は最も低い11%。「保健室内」が60%と圧倒的に多く、次いで「体育館」が32%、「特別支援学級の近く」は30%だった。
安八町立結小学校(岐阜県)では、「トイレの水が流れにくい」という児童の要望を踏まえて改修を行い、水圧不足が原因で起こる洗浄不良を低水圧対応器具の整備により解決した。全洋式化と温水洗浄便座の設置などに加え、車いすの児童のために多機能トイレを全フロアに設置。性的マイノリティにも配慮し、誰でも使用できるよう「みんなのトイレ」とした。
改修後、児童対象のアンケートでは、トイレに行くことを我慢していた児童の8割以上が改修後、「我慢することが減った」と回答している。
LGBTなど性的マイノリティの児童生徒への対応の必要性については、5割弱が必要と回答。不要と回答した8%を大きく上回った。一方で、「対応も踏まえトイレの整備予定がある」の回答は6%に留まっている。
昨年「みんなのトイレ」を設置した豊川市立一宮西部小学校(愛知県)では、1年間の利用状況を調査。5年生の9割程度が「使用した」と回答した。LGBTに特別感や偏見を持たないよう伝えるきっかけにもなったという。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年9月17日号掲載