(一社)日本食品添加物協会では、食品添加物の安全性を啓発。食品の加工や保存の役割を持つ食品添加物は幅広く活用されているが、「体に有害な成分」など誤った認識を持つ消費者も多い。国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子氏は、この課題について食品安全の観点から指摘する。
全ての食品は食経験により安全性が担保されたものだと畝山氏は話す。すぐに明確な有害影響がなくても、長期にわたって摂取した場合の安全性の保証はない。「安全な食品を選ぶ」のではなく、「リスクをどう減らすか」という視点が求められる。そのため、消費者はリスクアナリシス(危機分析)の手段として、“リスクのものさし”を使い分けることが必要だとする。摂取量のうち毒性の指標となる量を示す「MOE(暴露マージン)」、疾病や障害による時間の損失を単位として示す「DALY(障害調整余命年数)」などだ。これらの手法を使うと食品添加物より健康食品や一般的食品のリスクの方が高いことが明確に分かる。食品を安全と考えるかどうかは消費者の選択によるという。
食品安全においては、産地や栽培方法など特定の食品に偏ることを避けることでリスクを分散させるという考え方が原則。「多様な食品で構成されたバランスの取れた食生活」を心がけることも大切だとまとめた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年4月23日号掲載