ESD(持続可能な開発のための教育)への関心が高まる中、東京都小中学校環境教育研究会(藤森克彦会長)は53回目となる研究発表会を2月13日、東京都中野区立鷺宮小学校(渡島郁弘校長)で開催。「持続可能な社会づくりのための環境教育の推進―環境教育によって育む学力と環境保全意欲―」を研究主題に、鷺宮小の教員や同会研究員が公開授業を行った。
同会研究員の多摩市立大松台小学校の濱田会美教諭は、3年生の総合的な学習の時間で「2100年の天気予報~地球温暖化について考えよう(中学年モデル)」をテーマに公開授業を行った。
授業冒頭で濱田教諭は未来の天気予報と称し、「今日の予想最高気温は東京41度、大阪で43度、札幌でも41度まで上がるでしょう」と発表。児童の反応を見ながら、地球温暖化を身近な問題として捉えさせた。その上で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が増える原因を説明。電車や家電製品などのイラストが描かれたカードを児童に配り、どれが二酸化炭素を発生させているかを班で話し合った。
身近なものが二酸化炭素を排出し、地球温暖化につながっていると知った児童は「無駄なゴミを出さないようにする」「電気をつけっぱなしにしない」など、日常生活でも地球温暖化防止に貢献できることを学んだ。
4年生の公開授業では鷺宮小の吉村信一主任教諭と松本幸子栄養士がT・Tで「旬の物を食べよう」をテーマに学級活動を行った。1月の給食に出されたみかん、大根、白菜などの食材を取りあげ、共通する季節「旬」があることを説明。旬の食材には「栄養が豊富」「値段が安い」「おいしい」など良い点が多いことを伝えた。
一方、キュウリは夏の食材だが1年を通して食べられることから、夏に食べられるキュウリと温室で育てられたキュウリの違いをグラフで比較。「温室でキュウリを育てるには多くの光熱エネルギーが必要であるため、旬の食材を育てる方が地球にやさしい」とまとめ、食育と環境問題を結びつけた。
5年生の授業では鷺宮小の金山正教諭が総合的な学習の時間で「もったいないを広めよう」をテーマに食品ロスを取り上げた。農水省が推進する“食品ロス削減国民運動”への理解を深めるため、「食品ロス」やロゴマークの愛称である「ろすのん」をキーワードにタブレットPCを使って検索。食品ロスについて調べたことをカードにまとめて発表した。
毎日膨大な量の食品が廃棄されている現状と、残菜が処分される時もエネルギーが消費されることを知り、環境面からも食べ物を残さないことの大切さを学んだ。
授業後の研究発表では、中野区教育委員会の竹之内勝統括指導主事が講評。「今回の授業の内容は研究発表のために新たに取り組んだものではなく、これまで取り組んできた活動を環境教育の視点から整理し、計画的に系統立てたもの。これを参考に各校で行われている教育活動を環境教育の視点から見直し、実践の充実をはかってほしい」と語った。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年3月19日号掲載